昼顔~平日午後3時の恋人たち~01
1≪(サイレン)
2♬~
3♬~
4(垂れる音)
5♬~
6≪(鍵の開く音)
7≪(ドアの開く音)
8(紗和)おかえり。
9♬~
10≪(俊介)ママ。
(紗和)うん?
11(俊介)昨日の火事 放火だって。
(紗和)放火?➡
12怖っ。 犯人 捕まったの?
(俊介)いや。 まだ。➡
13住人は 助かったらしいんだけど
全焼だって。➡
14せっかく建てた家 燃やされたら
泣くに泣けないよな。
15(紗和)あっ。 家といえばさ
引っ越ししてきたよ。
16(俊介)えっ? ああ ああ。
あの新築?
17(紗和)うん。
夫婦と 子供が2人。
18(紗和)まあ 普通の家族みたいね。
19(俊介)新しい家に 住めるなんて
いいよな。
20(俊介)ヤバい。 こんな時間だ。
21ああ。 はむすけ。 はむみちゃん。
行きますよ。 はいはい…。
22おっ おっ おっ…。
23朝一 ショールームに
寄らなきゃ いけなかったんだ。
24えっ?
パパ 行ってくるからね。
25ちょっと。 パパ。
私も 一緒に行く。
26(俊介)おふくろ 頼むね。
6時に来るって 言ってるから。
27またか。
28(俊介)悪いけど
食事 作ってやってくれる?➡
29大したもんじゃなくて いいよ。
肉じゃがと 干物と➡
30サラダと
味噌汁とかで いいから。
31それ じゅうぶん
大したものなんですけど。
32ママ。 靴 また ほどけてる。
ああ。
33≪(エレベーターの到着音)
(俊介)あっ。 ごめん。
34ママ。 先 行くよ。
えっ?
35<ホントは ママなんて
呼ばれたく ありません>
36<でも 夫は
子供のいない 私を➡
37喜ばせているつもりです>
38<わざわざ
傷つけることも ないのです>
39♬~
40♬~
41<大きな声では 言えませんが➡
42もし 火事になったのが
自分の うちだったとしても➡
43私は そんなに
悲しくなかったかもしれません>
44<泣くほど 失いたくないような
大事なものなんて➡
45何もないような
気がしたのです>
46<不謹慎だけど➡
47捨てられなくて たまったものが
一斉に 整理できるかもって>
48(生徒)うわ。
ごめん ごめん。
49695円の お返しです。
50ありがとうございました。
(女性)はい。 お世話さまです。
51いらっしゃいませ。
52(利佳子)これ
冷えたの ないかしら?
53あっ。 こちらは
常温のみとなります。
54(利佳子)そう。
じゃあ これ お願いします。
55ゆうべの火事 驚きましたね。
56お引っ越し されてきましたよね?
57うち 川を挟んだ
反対側の マンションなんです。
58放火だなんて
もう 許せないですよね。
59警察 早く 捕まえてくれないと…。
(利佳子)お幾ら?
60あっ。 すいません。
5,706円になります。
61カード お預かりします。
62ありがとうございました。
どうも。
63(峰子)ありがとうございました。
何か 嫌みね。
64そうですか?
奇麗な方じゃないですか。
65(峰子)ああ。
人生って 不公平よね。➡
66時給 890円のパートなんか 辞めて
言いたいわ。
67(峰子)「お幾ら?」 ハハハ。
68(博美)ちょっと しゃべってないで。
レジ締め 終わったの?
69はい。
(峰子)はい。 間もなくです。➡
70主任さん。
(博美)笹本さんは 3時までよね?
71はい。
72(博美)時間 過ぎたら
タイムカード 切っとくから。
73[マイク](従業員)タイムセールを
行います。 国産 豚ばら…。
74豚ばら 間もなく タイムセール。
75(子供)シャンプー。
(子供)買った。
76(子供)ティッシュ。
(子供)買った。
77(子供)トイレットペーパー。
(子供)買った。
78(子供)洗剤。
(子供)洗剤は まだ。
79≪(子供)フフフ。
80(子供)しっしっ。
≪(子供)さとし 見っけ。
81(子供)うわっ。 ヤベえ。
(子供)待てよ。
82危ないよ。
危ない。 あっ…。
83もう。
84[マイク](従業員)ご来店中の
お客さまに➡
85お車の お呼び出しを
申し上げます。➡
86横浜 333 ら 422。➡
87横浜 333 ら 422で
お越しの お客さま。➡
88お伝えしたいことが
ございます。➡
89至急 お近くの従業員に
お声掛けください。➡
90ご来店中の お客さまに お車の…。
91♬~
92♬~
93♬~
94≪(智也)泥棒!
95≪(警報器の音)
96(警備員)すいません。
97≪(警備員)どうしました!?
≪(啓太)やってねえっつってんだろ。
98≪(警備員)ちょっと。 ちょっと…。
≪(智也)嘘つけ。 こら!
99(啓太)この野郎!
(智也)何じゃ こ!➡
0:08:21,075 -->
(警備員)お客さまの お車ですか?
101(智也)おい。 利佳子。
利佳子。 ヤバいよ。➡
102車 やられたぞ こいつに。
(警備員)ちょっと。 落ち着いて。
103(智也)放せ こら!
(啓太)てめえも 放せよ この野郎。
104どうしたの?
大きな声 出さないでちょうだい。
105ちょっと。 あのう。
106お名前は?
えっ?
107私の名前は 滝川 利佳子。
たった今から あなたの お友達よ。
108お友達?
口紅のこと➡
109黙っててあげるから
話 合わせて。
110(啓太)よせよ!
痛っ。
111(三島)笹本 紗和さん。
31歳ですね?
112はい。
(三島)笹本さんは➡
113滝川さんと 待ち合わせていて
被害に遭われたと。
114はあ。
115お茶を飲む約束を していたので
彼女の勤務先に 迎えに来ました。
116私 最近 引っ越してきたばかりで
笹本さんは➡
117初めて できた お友達なんです。
(三島)で 3人で お茶を?
118萩原さんは 彼女の
お知り合いなんです。
119(智也)ええ。 あのう。➡
120友達の友達は みんな
友達っていうか。 なっ? なっ?
121(三島)そうですか。
(智也)ええ。
122☎
123(三島)はい。 ああ。 分かった。➡
124お待ちください。
125あのう。 私 警察に 嘘つくなんて
困ります。
126ごめんなさい。
もう ついちゃったわね。
127これって 不倫の
カムフラージュですよね?
1282人でいたことが
バレたら 困るから➡
129協力しろってことでしょ?
冗談じゃないわ。
130最低。 不潔。
そんな 冷たいこと 言わないで。
131拾っておいたわよ。
132この赤 とても 似合いそうね。
違います。
133これは 間違えて
持ってきちゃっただけです。
134≪(ノック)
≪(ドアの開く音)
135(三島)被疑者の少年と➡
136学校の先生です。
(北野)失礼します。➡
137晴鐘学園の 北野と…。
(啓太)くそじじい。 てめえ。 おい。
138(智也)おら! 何じゃ こら!
押さえとけよ くそがき!
139(北野)はい。 すいません。
(啓太)うるせえな くそじじい。
140(北野)木下。
141(北野)晴鐘学園の
北野と申します。➡
142親御さんが 仕事で来られないので
私が 参りました。
143このたびは うちの生徒が
大変 ご迷惑を お掛けしました。
144よく指導してください。 先生。
(北野)はい。
145こちらは 示談で 結構ですから。
ねえ?
146(北野)ありがとうございます。
本人も ちゃんと 反省しますんで。
147(北野)ちゃんと
おわびしなさい。
148(啓太)便所 どこ?
(北野)おい。 木下。
149(啓太)うんこ。
(北野)木下。
150(三島)トイレなら こっちだ。
(北野)お前。 ちゃんと…。
151(三島)来なさい。 来なさい!
(啓太)何だ? こら。
152(北野)すいません。
(啓太)おい。 こら。
153(三島)頭 冷やそう。
(智也)反省してんのか くそがき!
154あのう。 おケガ 大丈夫ですか?
あっ。 はい。
155これから 病院に ご一緒します。
えっ?
156(北野)一応 診てもらった方が
いいと思うんです。
157あっ。 いえ。 そんな 大げさな。
(北野)いや。 あのう。
158治療が終わったら ちゃんと
ご自宅まで お送りします。
159紗和ちゃん。
そうしていただいたら?
160結構です。
161ホントに 大丈夫ですから。
そんな 大したことないんで。
162ちょっと どいてよ。
163すいません。
(北野)すいません。
164<神様 ごめんなさい>
165<私の してしまったことは
本当に いけないことです>
166<心から おわびして 改めます>
167<でも 一つだけ
言わせてください>
168<あんな すてきな おうちと
家族がいるのに 不倫するなんて➡
169罰当たりです>
170<どうか あの女の不倫が
旦那さんに バレて➡
171地獄に 落ちますように>
172(俊介)自転車で 転んだ?
パートの帰りにね➡
173猫が ニャーって 出てきて
よけようとしたの。 痛かった。
174(慶子)ひびでも 入ってたら
大変だから➡
175病院 行けって
私は 何度も 言ったんだけどね。
176だって お母さん。
大丈夫なんです。 ほら。 ほら。
177(慶子)いいから いいから。
休んでなさい あなた。
178(慶子)パートで 大変なんだから。
179どうせ 赤ちゃんが できたら
私に 頼ることになるんだし。
180ぐさっ。
「ぐさっ」って どういう意味?
181いえ。
(せきばらい)
182(俊介)あれ?
とろろじゃない?➡
183最近 食べてなかったな。
うまそう。
184(慶子)でしょう?
食べ物は 大事よ。➡
185精のつくもの 食べたら
結果が出るわよ きっと。
186あっ。 ご飯の時間だ。
ちょっ ちょっ…。➡
187ただいま。 パパ 帰ったよ。
188(慶子)ネズミが 「パパ」って
言ってくれたら いいけどね。
189お母さん。 あれ ネズミじゃなくて
ハムスターです。
190[TEL]
191もしもし。
[TEL]あっ。 紗和ちゃん?➡
192私。 利佳子。
193あっ。 どうしました?
(俊介)眠いの?
194[TEL]連絡先 聞いておいて よかった。
ねえ。 無事に帰れた?
195ご心配なく。
196主人が おわびしたいって
言ってるの。 ちょっと いい?
197[TEL]はっ? 主人?
198(滝川)もしもし。 お電話
代わりました。 初めまして。
199(滝川)いつも 利佳子が
お世話になっておます。
0:15:49,757 -->ん 全然。
201[TEL](滝川)今日
妻が お誘いしたせいで➡
202何か ケガを
させてしまったそうで。➡
203申し訳ありませんでした。
いえ。
204(滝川)妻は 世間知らずなところが
ありますが➡
205これに 懲りず これからも
仲良くしてやってください。
206世間知らず。 アハハ。
(滝川)ハハハ。➡
207あっ。 じゃあ
利佳子に 代わります。
208失礼します。 お大事に。
209突然 ごめんなさいね。
主人 こういうところ 堅苦しくて。
210普段は いいかげんなのにね。
さよなら。
211[TEL]待って。
212木曜日 パート 3時までよね。
213終わったら 横須賀ベイサイドホテルまで
来てくれない?
214どうして 私が?
今日の先生。
215ほら。 北野先生と
示談の話し合いをするの。
216私には 関係ありません。
217「あなたにも ぜひ
もう一度 おわびしたい」だって。
218参りません。
私も あなたに 会いたいの。
219ホントは ちゃんと 謝りたいの。
ねっ?
220(北野)1週間の 停学処分だ。
(啓太)もうすぐ 夏休みだし。
221(北野)木下。 卒業まで 半年だろ。
(啓太)関係ねえし。
222お母さん。
まだ 帰ってこないのか?
223(啓太)もっと 関係ねえし。
224無責任な慰め
言うつもりないけどさ。➡
225お母さんには お母さんなりの
理由が あるんじゃないか?➡
226お前を 18まで
育ててくれたのは 事実…。
227(啓太)キスしてた。
(北野)えっ?
228(啓太)だから キスしてたんだよ。
229(啓太)おふくろと
おんなじ顔してた。
230(北野)お前
それで やったのか?
231(啓太)スーパーの女も
同罪だよ。➡
232不倫が バレないように
友達のふりして やってたんだ。
233どうして 警察で
本当のこと 言わなかった?
234(啓太)その方が 面白えじゃん。
235平気で 嘘つく顔 見てたら
久しぶりに 笑えたぜ。
236情けないこと 言うな。
237お前 そんな
曲がったやつじゃないだろ。
238(啓太)うぜえ うぜえ。
熱血教師ぶんなよ。➡
239どうでもいいと 思ってるくせに。
240(北野)おい。 木下。
241ああー。 どうしよう。
242≪(戸の開く音)
243(慶子)あら。 口紅?
いい心掛けじゃない。
244たまには はっきり
言わせてもらうけど。
245あなた ちょっと
色気が なさ過ぎるのよね。
246そこですか。
あっ。 やりますよ。
247冗談で 言ってんじゃないのよ。
248もうちょっと
おしゃれ できないの?
249パートだって
行ってんでしょう?
250それは 家を買うためですから。
251男はね 幾つになっても
女に 色気を求めてんのよ。
252どんなときでも 女のこと
押し倒したいと 思ってんの。
253そこ 理解して
男のパワー 引き出さないと。
254ねえ。
あんた 元は まあまあなんだから。
255(俊介)あれ? 風呂 入ったの?
うん。
256寝ちゃったよ。
ああー。 うわ。
257ねえ。
うん?
258お母さんさ。
私に 色気がないから➡
259子供が できないと
思ってるみたい。
260そんなことないよ。
紗和は カワイイよ。
261すべすべだろ?
うん。
262(においを嗅ぐ音)
263いい香りなんだよ。
アロマ入り。
264買ったの?
うん。
265ネットで コスメの
バーゲン やっててさ。
266ママも 使っていいよ。
267ありがとう。
寝よっか。
268<夫は 同性愛者では ありません。
美しくありたいだけです>
269<結婚する前は
普通に 私を求めてきました>
270<ただ
セックスレスだからといって➡
271別れたいわけでは ありません>
272<私たちは 仲良しなんです。
でも…>
273(深澤)乱れてんだよな。
奥さまたち。➡
274日本も 終わりですよ。
275(京子)あのね 男が悪いのよ。
妻を 釣った魚状態にして➡
276まともに ケアしないから
こうなるわけ。
277(滝川)うわ。 耳が痛い。 やめて。
(深澤)ハハハ。
278(京子)はい。
プラン会議 始めるよ。
279(美和)複数の男と 付き合う
奥さま。 どうですか?➡
280出会い系じゃ 3人 4人は
珍しくないですよ。
281(滝川)タフだね。 いいね。
それ 追っ掛けてみようよ。➡
282「日替わりで男を抱く 奥さまたち。
木曜日は どんな彼?」
283(京子)いいですね。
(滝川)山下と田村は➡
284取材対象 何とかして 見つけて。
(山下・田村)はい。
285(滝川)カメラは
田島ちゃんで いいんだよね?
286(京子)はい。
(滝川)加藤さん。➡
287加藤さん 次は
絡みの絵にしてもらえますか?
288(加藤)絡みですか?
(滝川)ええ。➡
289こないだのだと
ちょっと 上品過ぎて これ。➡
290インパクトに 欠けるから。
こういうのは 割り切って➡
291ぎんぎんに エロい方が
いいんだな。
292(加藤)絡まない方が
エロスは ありますよ。
293(滝川)えっ?
(加藤)女性は➡
294一人で 横たわってる方が
エロチックです。
295(滝川)ああー。 分かる。
ですが➡
296そういう 高尚なエロスじゃなくて
もっと 直接的な➡
297ストレートな表現が 欲しいの。
ひとつ お願いします。
298何か?
299こんな特集して
主婦を あおって
0:22:02,730 -->か?
(滝川)責任って。 いやいや。
301われわれが 作ってるものは
娯楽ですよ。 教科書じゃない。➡
302自己責任でしょう。
303(滝川)お疲れさまでした。
(京子)よろしく お願いします。
304(一同)お疲れさまです。
305(京子)妙なとこ
真面目なんですよね。
306でも 才能は あるよ。
307(京子)ああ。 若いときは
有名な賞を 取ったんですよね?
308(滝川)そう。
ただし 芸術家の才能じゃない。➡
309挿絵描きの才能 限定。
(京子)ハハッ。
310♬~
311♬~
312≪(智也)あのう。
313あなた。
(智也)ちょっと いいっすか?
314いいわけないでしょ。
勤務中ですから。
315(智也)利佳子が
電話に 出てくれないんだ。
316メールも
ブロックされてるみたいでさ。
317私に言われても 困ります。
318≪(クラクション)
319♬~
320♬~
321(北野)修理代 および
笹本さんの 治療代については➡
322こちらで 責任 持って
対応させていただきます。
323先生が 責任 持つんですか?
(北野)あのう。➡
324事件を起こした生徒の 家庭には
事情がありまして。➡
325現在 母親は 不在。
父親も 出張がちです。➡
326校長と相談し 私の方で
対応することになりました。
327熱心な先生ね。 すごいって
言いたいところだけど➡
328気に入らないわ。
だって 本人はおろか➡
329親御さんも 来ないんじゃ
誠意が 感じられないもの。 ねえ。
330これは お引き取りいただけます?
331(北野)おっしゃることは
ごもっともですが。
332考え直して
いただけないでしょうか?
333将来ある 子供です。
もちろん 謝罪については➡
334今後 きちんと 本人からさせます。
そうね。
335先生が デートしてくれたら
考えても いいですよ。 私と。
336本気よ。 先生が
私と 一日 過ごしてくれたら➡
337ちゃらにしてあげます。
私は 真剣に 謝罪に来てます。
338私も 真剣に 誘ってます。
(北野)からかわないでください。➡
339生徒の人生が
懸かってるんですから。
340先生に 生徒の人生なんか
救えるのかしら?
341あなたが
恩着せがましい顔をするより➡
342被害者の女と デートするぐらい
ふてぶてしい方が➡
343生徒も
たくましくなるんじゃない?
344(北野)失礼します。
あらためて ご連絡します。
345行ったら?
えっ?
346追っ掛けてって 友人が ご迷惑を
お掛けしましたって 謝れば?
347詐欺に よくある手口らしいわよ。
348一人が 悪役をして
もう一人が 正義の味方をする。
349どうして 私が?
350今 彼のこと
すてきって 思ったでしょ?
351何 言ってるんですか?
悪くないわよね あの先生。
352ちょっと スマートさに
欠けるけど。
353でも あなたのように
免疫がない人には➡
354ちょうどいいかも。
あのう。
355あなたに 何 言っても
無駄かもしれませんが➡
356私 結婚してるんです。
だからじゃない。
357ホントの恋愛なんて➡
358結婚してからじゃなきゃ
できないわ。
359ハッ。
決めぜりふのつもりですか?
360だって 結婚する相手には
経済力や 家柄➡
361見えが 優先するでしょう?
362自覚は ないかもしれないけど➡
363あなただって きっと 打算で
選んだはずよ。
364失礼な。 私は 夫を好きになって
結婚しました。
365あなた 幾つ?
お宅さまよりかは 若いですよ。
366かなり。
警察で 31って 言ってたっけ?
367しっかり
チェックしてるじゃないですか。
368このまま 女を捨てて
一生を 終えていいの?
369私は 若い男と
ちゃらちゃら 不倫するより➡
370あったかい家庭が
つくりたいんです。
371分かってないわね。
372温かい家庭を つくるためにも
恋が 必要なんじゃない。
373意味不明。
理解不能。
374じゃあ 聞くけど。
375ご主人は 温かい家庭を
つくろうと 努力してくれてる?
376昔と変わらず
あなたを 大事にしてくれてる?
377そんな ご主人に
あなたは まだ ときめける?
378無理よね。
結婚は➡
379平穏と 引き換えに
情熱を 失うものだから。
3803年もたてば 夫は妻を
冷蔵庫同然にしか 見なくなる。
381冷蔵庫?
382ドアを開けたら いつでも
食べ物が 入ってると思ってる。
383壊れたら 不便なのに
メンテナンスなんてしたことない。
384でもね 外で 恋愛をすれば
夫にも 寛大になれるわよ。
385機嫌よく パンツも 洗えるわ。
家族みんなが 幸せになるの。
386そうですか。
だったら もっともっと➡
387幸せに おなりください。
388こないだの彼が
連絡 取れないって 心配して➡
389スーパーに 来てましたよ。
ああ。 彼とは 終わりにしたわ。
390若い人は 危険ね。
391外で 名前を呼ぶような男とは
付き合えないわ。
392絶対に バレてはいけない。
393それが 私たちの
恋のルールだと 思わない?
394「私たち」?
同意 求めないでください。
395何が 恋よ。
あら。 不倫は 究極の 恋愛の形よ。
396映画だって 小説だって
たくさん 名作があるわ。
397それは 物語だからでしょ。
でも あなただって➡
398美しい ヒロインになりたい
願望は あるんじゃない?
399だから 赤い口を。
0:29:58,038 -->ました。
だから?
401あなたは 口紅が
欲しかったわけじゃない。
402退屈な毎日に
穴を あけるような➡
403ドキドキするようなことが
したかった。
404もしかしたら 放火したのも
あなただったり…。
405いいかげんに してください!
406今 あなたを 刺したくなりました。
407[TEL](メールの着信音)
408♬~
409♬~
410あのう。
何してるんですか?
411(北野)都会では あまり見ない
虫がいたんで。
412虫?
(北野)あっ。 あのう。➡
413生物を 教えてます。
ああ。 生物ね。
414(北野)ヨツボシモンシデムシと
いいます これ。
415うわっ! 臭い!
(北野)おっ。 あっ。➡
416外敵から 身を守るために➡
417お尻から 腐敗臭のする液体
出すんですよ。
418こいつら 昆虫には珍しく
一夫一妻制も見られる虫なんです。
419一夫一妻制?
(北野)人の結婚と 一緒ですよ。
420特定の 雄と雌が
一対一の つがい関係で➡
421子供を 育てたりするんですよ。
422僕は 嫌いです。
えっ?
423たとえ 冗談でも
簡単に 男 誘うような女。
424そもそも 冗談で誘うのが
許せない。
425あっ。 すいません。
426こんなこと 言うつもり
なかったんですけど。
427先ほどは 大変 失礼しました。
428怒って 席 立つなんて
大人げなかったです。
429いいえ。
あれは 怒って当然です。
430私だったら
殴りかかってたかもしれません。
431えっ? ホントに?
432どうかな? フフフ。
433あのう。 実を言うと➡
434晴鐘学園の先生って 聞いて
驚きました。 私 卒業生なんです。
435そうでしたか。
はい。
436僕 あのう
去年 赴任したばかりなんです。
437まあ 理科は
一番 苦手だったんですけど。
438ああ。
439滝川さんとは
ご友人では ないですよね?
440えっ。 何でですか?
441僕には あなたと彼女が
気が合うようには 思えない。
442立ち入って すいません。
443友達です。
444あのう。 虫が 結婚生活するって話
面白かったです。
445あっ。 こっちでした。
446≪(チャイム)
447(男性)昼顔さんですか?
448(男性)今日は ついてるな。➡
449こんなに奇麗な人だとは
思っていなかった。
450あなたも なかなかよ。
(男性)フッ。
451(男性)何時まで いられますか?
452子供が お稽古から帰るから
5時には 出るわ。
453(男性)ちょうど よかった。
僕も 6時には 仕事に戻らないと。
454いきなり? まだ
ホントの名前も 知らないわよ。
455(男性)真実は 携帯の番号だけ。
456ネットの出会いなんだから
それで いいじゃないですか。
457知らない方が
あれこれ想像できて 燃えますよ。
458それは 男の理屈ね。
女は まず 好きになりたいの。
459たとえ その場かぎりの相手でも。
460でも 昼顔って ハンドルネーム
付けてるってことは➡
461あなたも 世間話が
したいわけじゃないでしょ?
462僕 頑張りますから。
463『昼顔』って映画 見たことあるの?
464あっ。 昔の。 上流家庭の奥さまが
真っ昼間に 売春する話でしょ?
465罪を犯したら
罰を受けるって 映画よ。
466<白状します。 今日は
キッチンに 立ちたくありません>
467<あの人に
会ったせいでしょうか?>
468<あの人の声が 耳から
離れないせいでしょうか?>
469[TEL](呼び出し音)
470もしもし?
471[TEL]ごめん。 仕事中。
(俊介)どうしたの?
472今夜 どっかに ご飯
一緒に行かないかなと 思って。
473(俊介)今日 無理だな。
展示会の 打ち合わせ あるから。
474私 待ってるよ。
475(俊介)えっ?
美容院でも 行ってこようかな。
476(俊介)いや。 ご飯 作るの面倒なら
何か 買ってきたら?➡
477僕は コンビニでも いいから。
そういうことじゃないんだけどな。
478まあ いいや。 じゃあね。
479[TEL](バイブレーターの音)
480(美鈴)「奥さまですか?」
481(俊介)「よく 分かったね」
482(美鈴)「課長のことなら
何でも 分かりますよ」
483(俊介)「おいおい」
484(美鈴)「会議の後
ご飯 食べません?」➡
485「二人っきりで」
486ヨツボシモンシデムシ。
487それにしても 臭かったなぁ。
488♬~
4892人とも 走らないの。
490♬~
491≪(陽菜)お母さん。 早く。
492♬~
493(北野)臭いってよ。
494嫌われちったな。
495「主人とは 3年
セックスしてません」
496ぎえー。
497おはようございます。
(女性)おはようございます。
498(西山)お忙しいところ
すいません。
499(西山)小泉署の
西山と申しますが
0:41:35,101 -->
(西山)あのう。➡
501先日の 火事のことについて
ちょっと。
502あっ。 放火だったんですよね?
(西山)ええ。➡
503石黒さんの奥さんとは
顔見知りですか?
504いえ。 結構 離れてますから。
505(西山)何か?
506ホントに 何も知りませんから。
もう いいですか?
507(西山)すいません。 どうも。
お忙しいところ 失礼しました。
508どうして うちが分かったの?
509(智也)利佳子んちの近くの
マンションって 言ってたから。
510帰って。
近所に 変に思われるじゃない。
511利佳子と まだ
連絡が取れないんだ。
512電話するように
言ってくれないかな?
513あなたとは別れたって
言ってたわよ。
514別れた?
そう。
515諦めなさい。 じゃあ。
ちょっ。 待って。 待って。
516放して。 やめて。
待って。 聞いてって。 聞いてよ!
517放して。 何?
518(智也)もう1回だけ
会いたいんだ。 頼みます。
519自分で 会いに行けば
いいじゃない。
520怒られるよ。
利佳子。 家を大事にしてるから。
521大事にしてたら
あなたと 遊んだりしないよ。
522ただの遊びじゃない。
そんなに好きなわけ?
523ご主人がいる人よ。 バレたら
あなたが 慰謝料 請求されるの。
524あんたには 分からないよ。
525あっ そう。
526(智也の泣き声)
527えっ。 ちょっと。
こんなとこで 泣かないでよ。
528(智也の泣き声)
529(慶子)何てこと。➡
530だから 子供が できないわけね。
531(北野)決まった雌だけが
産卵するといった➡
532カーストがあるものを
社会性昆虫という。➡
533しかし この
ヨツボシモンシデムシのように➡
534固定した雄と雌が ペアになって
生殖活動を行い…。
535(生徒)
めっちゃ 交尾してるじゃん。
536(北野)人と同じような
一夫一妻制で…。
537《一夫一妻制?》
538《虫が 結婚生活するって話
面白かったです》
539《こっちでした》
540(まなみ)先生。 先生。
(北野)うん?
541(まなみ)生殖って 何ですか?
(生徒たち)フフフ。
542(北野)生物が
子孫をつくることだ。
543(まなみ)ふーん。 フフッ。➡
544先生。 今 エッチなこと
考えてたでしょ?
545(生徒)うーん。 図星 図星。
(北野)後藤。
546(まなみ)先生も
交尾とか してるの?
547(北野)今 生物の授業中だぞ。
(まなみ)人間だって 生物ですよ。
548(まなみ)
質問に 答えてください。➡
549みんなも 知りたいよね?
(生徒たち)知りたい。
550(まなみ)でしょう?
知りたいでしょう?
551(生徒たち)北野先生。 北野先生。
先生。 教えて。
552(北野)木下。
553(北野)お前。 扉 閉めてけ。
554≪[スピーカ]♬(音楽)
555≪(加藤)おい。 何してんだ?
556あっ。
利佳子さんの ご主人ですか?
557(チャイム)
558[インターホン]はい。
(加藤)加藤です。
559[インターホン]今 開けます。
(解錠する音)
560皆さん。
お揃いになったばかりです。
561(加藤)トイレ お借りして
いいですか?
562あっ。 突き当たり 左になります。
563紗和ちゃんも 上がっていって。
お取り込み中みたいですね。
564あっ。 主人の 職場の方が
新築祝いに 来てくれてるの。
565ちょっと いいですか?
566どうしたの?
567お宅の彼が
うちの マンションに来ました。
568また 来られたら困るから
連絡してあげてください。
569ごめんね。
(滝川)おい。 どうした?
570あっ。 ううん。 紗和ちゃんよ。
ほら。 こないだ 一緒にいた。
571(滝川)ああ。 どうも どうも。
どうも。
572へえー。 おい。 上がってもらえよ。
どうぞ。 こんにちは。
573どうぞ どうぞ。 入って。
えっ? いや。 私は…。
574[スピーカ]♬(音楽)
575どうぞ どうぞ。 入って。
ホントに 大丈夫です。
576すげえ。
577主人ね 出版社に勤めてるのよ。
578ねえ 『BONITO』って雑誌
知ってる?
579この編集長なの。
580≪(真菜)こんにちは。
≪(陽菜)こんにちは。
581こんにちは。
(陽菜)こんにちは。 陽菜です。
582(真菜)姉の 真菜です。
今日は ようこそ。
583紗和ちゃんよ。
お母さんの お友達。
584幾つ?
(陽菜)8歳です。
585(真菜)あっ。 今日
ゆっくりしてってください。➡
586こんにちは。
(陽菜)こんにちは。 陽菜です。
587(真菜)姉の 真菜です。
今日は ようこそ。
588(陽菜)怖い。
5892人とも ご飯 食べてらっしゃい。
(真菜)行こう。
590主人 呼びましょうか?
いえ。
591ねっ。 紗和ちゃんも
食べていったら?
592私 やっぱり 帰ります。
いや。 そんなこと 言わないで。
593(女性たち)エロい。
ちょっと。 子供も いるんだから。
594(校長)けじめをつけろ。
高校は 卒業しないと➡
595職探しにも 苦労するぞ。
596(教頭)木下。 返事は?
(啓太)職なんか いらねえし。
597(北野)じゃあ
どうやって生活するんだ?➡
598自分の力で 働いて
その報酬で 生活する。➡
599それが 生きるとだろ。
0:50:13,118 --> あいつらが
警察に 嘘ついてること➡
601言わなかった?」って
聞いたよな?
602金 もらうためだよ。
あの不倫女に。
603木下!
(校長)北野先生。
604(校長)どういう意味だ?
605(啓太)あの女 旦那に バラすって
脅したら 結構 払うぜ。➡
606つうか
一発ぐらい やらせるかもな。
607(北野)お前 いいかげんにしろよ。
(啓太)子供過ぎんだよ あんたら。
608(啓太)生きるっつうのは
そういうことなんだよ。➡
609あんたも 教師ならさ➡
610くだらねえ 虫の話ばっか
してないで➡
611ホントのこと
教えたら どうなんだよ?
612(北野)おい。 待て。 座れ。➡
613いいから 座れ。
おい!
614(啓太)退学にでも 何でもしろよ。
(北野)おい 木下。 痛っ!?
615(教頭)あっ。 大丈夫ですか?
(舌打ち)
616(北野)痛っ。
(教頭)おい。 木下。
617(滝川)われわれはね 仕事柄
プロのモデルや 女優さんに➡
618会うことが 多いでしょ?
紗和さんみたいなタイプは➡
619新鮮なんですよ。 なっ?
620(深澤)ホント ホント
そうなんですよ。➡
621普通の奥さんって感じで
逆に 色気 感じるんです。
622色気?
(男性)感じます。 ホントに…。
623いやいや いやいや。
(深澤)ホント ホント…。
624それだけは。 ハハハ!
それだけは ないです。
625ハハハ!
ああー。 すきっ腹に 飲んだので。
626紗和ちゃん。
それ ノンアルコールよ。
627分かってますよ。
(滝川)しかし。 ねえねえ。➡
628いつ 知り合ったんですか?
何が きっかけで。
629火事のあった 次の日よ。
630紗和ちゃんが
声を掛けてくれたの。
631(滝川)そういやさ この間
この近くで 火事があって➡
632放火じゃないかって
いわれてたんだけど➡
633あれ 無理心中らしい。
無理心中?
634(滝川)うん。 住人の誰かが
火を付けたとしか➡
635考えられないって。
どうして 自分の家に?
636(田村)常識的に言えば 借金とか?
637(京子)介護問題とかっていうのも
あるわよ。
638(滝川)いやいや。 男女関係っていう
情報 あるんだよ。
639夫の浮気に 憎悪を燃やした
妻がってとこか。
640もし そうなら
お子さんが 気の毒よね?
641(女性)ホント そうですよね。
642逆かも?
(滝川)えっ? 逆?
643あっ。 奥さんが 不倫をしてて
全てを 清算しようとしたとか。
644(滝川)ああ。 それ あり得ますね。
まさに うちの雑誌で 特集した➡
645昼顔妻の
成れの果てってわけだ。➡
646ねえ? 加藤さん。
そう思いませんか?
647女が そんな 割に合わない
清算のしかた するかしら?
648今の奥さんは
もっと器用に 不倫するわよ。
649だって ほら。
あなたの本に 書いてある。
650(滝川)うん。 確かに。
651(女性)びっくりした。
(美和)奥さん 美人だし➡
652浮気してんのかと
思っちゃいました。
653(滝川)ないないない。 こいつ
顔だけで そんな器量ないから。
654ひどい。
≪(真菜)お母さん。 お母さん。➡
655お母さんに お客さま。
萩原って 男の人よ。
656(滝川)誰?
さあ? 誰かしらね。
657(滝川)ちょっと待って。
不審者だったら まずいよ。➡
658俺が行くよ。
(男性)あっ。 僕も行きます。
659あっ。 私です。
660あっ。 私の弟です。
(滝川)弟さん?
661はい。 今日 遊びに来るって
言ってて 迎えを頼んだんです。
662(滝川)ああ。
あっ どうも ごちそうさまでした。
663紗和ちゃん ごめんなさいね。
何の お構いもせずに。
664あっ。 早かったね。 行こう。
(智也)はっ?
665何だよ!
行かない!
666≪(足音)
667お肉や ビール 足りてる?
(滝川)えっ?
668家まで来るなんて
どうかしてるわよ。
669(智也)あんただって
行けばって 言っただろ。
670あれは 売り言葉に
買い言葉っていうか。
671会いたいんだよ。
駄目よ。
672家には 利佳子さんの子供が
いるのよ。
673ママの彼氏が来て
旦那と修羅場になったら➡
674どうなると 思うの?
675俺は むしろ
修羅場になってほしいよ。
676がきね。
677そんなんじゃ
絶対 相手にされないから。
678♬~
679♬~
680≪紗和ちゃん。
681驚いた。
自分でまいた 種でしょ?
682違う。 あなたが
味方してくれたことに 驚いたの。
683私は 真菜ちゃんたちが➡
684かわいそうなことになったら
嫌だから。
685私たち いい友達になれそうね。
どこが?
686あなたも 私も 嘘つきだから。
一緒にしないでください。
687≪(ドアの開閉音)
688あら。 もう お帰りですか?
(加藤)用は 済みました。
689まだ 全然
召し上がってないじゃないですか。
690これから まだ。
691お宅の飯は
口に合いそうにないんで。
692ごめんなさい。 蚊が。
693加藤さん。
絵を描いてくださいませんか?
694一流の画家なんですよね?
一度でいいから➡
695プロの方に 私自身を
描いてもらいたかったんです。
696[TEL](メールの着信音)
697≪(生徒)ねえねえ?
この後 どこ行く?
698≪(生徒)どこ 行くか?
≪(生徒)すし。 すし。➡
699ナオキのおごりで すし。
(生徒)いいね。 おり。
0:57:35,093 -->達に➡
701描いてもらったことが
あるんですけど➡
702全然 似てませんでした。
703描きにくい顔だって 言われました。
≪(滝川)おい。 なあ。 利佳子?➡
704ビールの追加ある?
はーい。
705ちょっと ごめんなさい。
706(滝川)おーい。 なあ なあ。
何?
707さっき来た
男のことなんだけどさ。
708ちょっと 風邪 ひかないでよ。
あれ どう見ても➡
709紗和さんの弟じゃないよな。
これだろ?
710まさか。 あなた 仕事で
不倫妻の取材してるから➡
711何でも そう見えるのよ。
712お前は 世の中を 知らな過ぎる。
713彼女とは あまり
付き合わない方が いいな。
714どうして?
俺の言うとおりにしてたら➡
715間違いないから。
おーい。 誰か 迎えに来て。➡
716よっ。 重いよ。
まあ いいや。 一緒に行こう。➡
717飲むぞ。 飲もう。
≪(歓声)
718≪(警備員)何か?
719あっ。 すいません。
720(北野)あれ?
721あれ?
北野先生。 眼鏡は?
722(北野)ああ。 ちょっと
こけちゃって 壊しちゃいました。
723それより どうしました?
724あっ。 偶然 通り掛かって
懐かしくなって。
725どうも。 さよなら。
726♬~
727ごめんなさい。
自分で モデル 頼んでおいて。
728どうぞ。
(加藤)いえ。 できました。
729うれしい。
730不満なら すいません。
僕は 三流画家です。
731いいえ。 あなたは 超一流です。
だって 私に そっくりだもの。
732♬~
733♬~
734また 道 間違えました?
違います。
735偶然じゃありません。
736私 この間 嘘つきました。
嘘?
737滝川さんと 友達じゃありません。
頼まれて そう言いました。
738わざわざ そんなこと 言いに?
「そんなこと」?
739あっ。 嘘ついたままは
嫌なので。
740これまで
嘘ついたこと ないんですか?
741結構 意地悪なんですね。
あっ。
742靴ひも ほどけてますよ。
あっ。 よく やっちゃうんです。
743縦結びだから。
ここ 下から 入れて➡
744で ここで 輪っか 作って
で ぎゅっ。
745簡単でしょ? そっちも。
はい。
746やってみて。
すいません。
747この年まで ちょう結びのしかた
覚えないまま きちゃって。
748あっ。 ここ。
下から 入れて 輪っか。
749<不倫。
みだらで 薄汚く 非常識な欲望>
750(俊介)腰の辺りも しっかり。
751(美鈴)これで
快適に 過ごせますね。
752サポートできてるな。
753<家族を裏切り 周囲を傷つけ➡
754友達を失い
自らも 苦しみの淵に落とす罪>
755♬~
756<足を踏み入れたが 最後➡
757出口がないことに 気付いても
決して 引き返せない>
758<全てを破壊する
許されない恋>
759♬~
760(北野)じゃあ。
761♬~
762<私には 一生
縁のないものです>
763♬~
昼顔~平日午後3時の恋人たち~02
1♬~
2≪(セミの鳴き声)
3(セミの鳴き声)
4(セミの鳴き声)
5(北野)《昆虫には 珍しく➡
6一夫一妻制も
見られる虫なんです》➡
7《人の結婚と 一緒ですよ》
8≪(俊介)離婚したいのかな?
(紗和)り… 離婚?
9(俊介)最近 ずっと
背中 向け合ってんだ。
10(紗和)何だ。
はむちゃんたちのこと。
11(俊介)「何だ」って 言わないでよ。
冷たいな ママ。 なあ?
12(紗和)ねえ。
誰が 火を付けたのかな?
13(俊介)こないだの 火事?
14放火したのは
家族の 誰かなんだって。
15鍵が 全部
中から 締まってたらしいよ。
16(俊介)えっ。
何で 自分の家に 火 付けんの?
17さあ。 他人には分からない
秘密が あったんじゃない?
18何?
19(俊介)いや。 ママにも
秘密が あるのかなって思って。
20あるわけないじゃん。
(俊介)冗談だよ。
21じゃあ はむすけ。 はむみ。
パパ 行ってくるからね。
22うわっ。 今日 日差し 強そうだな。
23ママ。 日焼け止め 取ってくれる?
はいはい。
24はい。
25あっ。 これじゃなくて
SPF50の方。
26まあ いいや これで。
27いってらっしゃい。
はい。 いってきます。
28ハァ。
29(慶子)おはよう。 紗和さん。
30あっ。 お母さん。 何で?
31俊介さんなら…。
(慶子)あなたに 話があるの。
32えっ?
33(滝川)これが お母さんだってさ。
フフフ。
34(陽菜)全然 似てない。
35(真菜)お母さん。 ねえ。
何で 怒んなかったの?
36(利佳子)いいから 早くしなさい。
真菜。 ほら。 プリント 持ったの?
37(真菜)あの人 ホントに
才能ある 画家なの?
38(滝川)うん? あるよ。➡
39だから お父さんの雑誌が
仕事 頼んでんだよ。
40ほら。 お父さんの仕事に
口出し しないの。
41遅刻するわよ。
早く。
42(真菜)もう頼むの やめたら?
あんな人。
43(陽菜)顔が 怖過ぎよ。
44ねえ。 もう1回 頼んでくれない?
(滝川)えっ?
45悔しいじゃない。
あんなふうに 描かれたままじゃ。
46(滝川)やめとけって。➡
47あいつは ケンカ
売ってるだけなんだから 俺に。
48ケンカって?
49いってらっしゃい。
50(女性)おはようございます。
おはようございます。
51♬~
52(ドアノブを引く音)
(智也)おい。 利佳子。 利佳子!
53(智也)ねえ。
54♬~
55(智也)利佳子。 おい。 利佳子!
56♬~
57元 Jリーガーじゃなかったの?
補欠のまま 辞めたんだっけ。
58(智也)利佳子のこと 諦めないよ。
59言ったでしょ?
もう 終わったの。
60(智也)利佳子。 ひどいよ。
何で 冷たくするんだよ?
61これ以上 好きになったら
主人と 別れたくなる。
62(智也)別れりゃ いいじゃん。
俺と 暮らそうよ。
63いいの?
(智也)当たり前だよ。
64娘たちは 私が 引き取りたいの。
一緒に 育ててくれる?
65えっ? ああ。
66私に 不貞があって
別れるわけだから➡
67夫から 慰謝料は もらえないわよ。
68住むところも
探さなきゃいけないわね。
69最低 2LDKは 欲しいから
今みたいな生活じゃ 駄目よ。
70私には 実家に
年取った両親も いるから➡
71ゆくゆくは 介護も お願いね。
72分かった? 私と一緒になるのが
どういうことか。
73試したのかよ?
ごめんね。 いじめて。
74さよなら。
75俺とは 遊びだったのかよ?
そうよ。
76欲求不満の主婦の お遊び。
若い体だけが 目的だった。
77もう 飽きたわ。
78(慶子)何か
かわいがってる割には➡
79簡単な名前 付けたわよね。
お話って 何でしょうか?
80(慶子)俊介って名前はね…。
あっ。 ちょっと。 お母さん。
81あのう。 私 そろそろ パートに
行かなきゃいけないんです。
82(慶子)いえね。
別に 大したことじゃないのよ。➡
83あれは 誰なのかなと思って。
「誰」?
84(慶子)あなた 男性と
話してたでしょう。 二人っきりで。
85(慶子)今 不倫する主婦が
多いっていうじゃない?➡
86疑ってるわけじゃないんだけどね
一応 聞いとこうと思って。➡
87だって ねえ?
心の中で 「この子➡
88浮気してんのかしら?」って
思ってんじゃ 陰険でしょう?➡
89あっ。 今 「浮気」って言ったのは
わざとよ。
90<心臓が ばくばくしました。
嫌な汗が 流れました>
91<不倫が バレたら
この 陰険な姑に➡
92もっと ひどい言葉を
浴びせられるでしょう>
93<あの 女性的な夫も➡
94男らしく 殴りかかって
くるかもしれません>
95<フフフ。
まるで 女子高生ですね>
96<あの人とは 少し
話をしただけの関係>
97<何も やましいことは
してないのに>
98<そもそも そんな自信も
勇気も ないくせに>
99(北野)何やってだよ?➡
0:08:36,925 -->れ。 おい!
101<でも 私の頭の中には あれ以来
ずっと あの人が いるのです>
102<妄想の中の私は
あの人を 抱き締め 口づけ➡
103からかったり 甘えたり
いじめたり>
104(セミの鳴き声)
105<信じられないほど 奔放で
自由でした>
106(峰子)じゃあ
お姑さんの 誤解だったの?
107知り合いに
呼び止められたところを➡
108見てたらしいんです。
(峰子)それで あんたの➡
109不倫相手だと思って?
ホント 冗談 やめてほしいですよ。
110不倫なんか するわけないのに。
111(峰子)いらっしゃいませ。
いらっしゃいませ。
112こんにちは。
113そんな 迷惑そうな顔 しなくても。
迷惑なんです。
114友達が 来たのに?
327万円でございます。
1153時までだったわよね?
待ってる。
116私は 用は ありませんから。
3時って 不思議な時間よね。
117昼でも 夜でも 夕方でもない。
どこにも 属さない 自由な時間。
118私 一日で 一番 好きな時間なの。
さようでございますか。
119私には 洗濯物を入れて
夕食の支度を しなきゃって➡
120うんざりするだけの時間です。
夕食の支度なんて➡
1215時に戻ったって
できるじゃない。
122あなた そんなに 要領 悪いの?
123ありがとうございました。
待ってるわね。 紗和ちゃん。
124お疲れさまです。
125(男性)お疲れさまです。
お疲れさまです。
126ったく。
(店員)いらっしゃいませ。➡
127ご注文は?
あっ。 いえ。 私は…。
128(北野)あっ。➡
129すいません。 遅くなっちゃって。
どうして ここに?
130(北野)えっ?➡
131あのう。
滝川さんから 電話 あって。➡
132示談の件で 話がしたいって。
えっ?
133奇麗な絵も
お描きになるんですね。
134あんまり 興味ないけど。
135どうせなら
毒のある絵が 見たいわ。
136こないだの 私の絵。
どきっとしました。
137本当の私を 見抜かれたみたいで。
138(加藤)見たままを描いただけです。
ハッ。 言いますね。
139(加藤)文句 言いに
来たわけですか?
140いいえ。
お願いに 来ました。
141もう一度 私を
描いてくれませんか?
142もちろん お金は 払います。
あなたは プロですから。
143主人には 黙って 来ました。
144私 もうすぐ 40なんです。
145若いころから 人に 「奇麗」って
ちやほやされてきました。
146外見で 得をしたことも
たくさん ありました。
147主人は いつも 「こいつは
顔だけだ」って 言いますけど➡
148男性から 奇麗だと思われる女と
そうじゃない女の人生って➡
149全然 違うと思います。
150でも 美しさって 永遠じゃない。
151まだ ぎりぎり 奇麗なうちに
自分を残したい。
152あなたに ありのままの私を
描いてほしいんです。
153(加藤)お断りします。
あなたに 美しさは 感じない。➡
154プロは 対象を愛せないと
描けないんですよ。
155冷たくしても 逆効果ですよ。
156≪(ドアの閉まる音)
157≪(エンジン音)
158♬~
159(北野)滝川さん 気を利かせた
つもりなんじゃ ないでしょうか?
160えっ?
161(北野)男と女という 側面でしか➡
162人間関係 見られない人が
いますからね。
163そうですね。
164私たち そういうの
絶対 あり得ないのにね。
165いや。 あなたが どうとか
そういうことではなく。
166気付きませんでした?
私 結婚してるんです。
16731歳。 結婚 5年。
夫は 7個 上。
168子供 なし。 家 なし。
パート あり。
169意外ですね。
独身かと思ってました。
170あれ?
案外 お世辞が お上手なんですね。
171(北野)お世辞じゃないですよ。
何か 生活感が ないっていうか。➡
172料理や 家事が
できるように 見えないんで。
173あのう。 ちょっと
聞いても いいですか?
174(北野)はい。
175こないだから 思ってたんですけど
わりと 言わなくてもいいこと➡
176さらっと言う タイプですよね。
人に 嫌われません?
177(北野)はい。 嫌われます。
認める。
178職場でも
うっとうしがられてますし➡
179生徒にも あまり 好かれません。➡
180まあ 悩むほどでは
ないんですけど。
181そういうところが
よくないんですよ。
182「生徒に 嫌われて
悩んでるんです」って 言えば➡
183カワイイのに。
184特に 女の子とは うまく
いかないんじゃないですか?
185はい。
よく 結婚できたなと 思いますよ。
186えっ? 先生も
既婚者なんですか?
187えっ。 おかしいですか?
いや。 おかしいっていうか➡
188とても 奥さんを
養ってる感じには 見えません。
18933歳。 結婚 2年目。
妻は 1歳上。
190子供?
なし。
191家。
ローン 支払い中。
192あっ。 ねえ。
ちょっと 聞いてくださいよ。
193けさね うちのバルコニーに
セミが 来たんです。
194(北野)早いですね。
生物って 面白いですね。
195先生に 虫にも 家族がいるなんて
話 聞いたから➡
196追い払うことが
できませんでした。
197(北野)へえー。
案外 優しいんですね。
198だから その「案外」が
余計なんです。
199あっ。 そっか。
すいません。0:17:48,610 --> 帰ります。
(北野)えっ?
201夫が 帰ってくるまでに
ご飯 作らなきゃいけないし。
202アイロンも かけなきゃ
いけないんです。
203主婦ですから。
さよなら。
204(北野)あのう。
よかったら あのう。
205連絡先 交換しませんか?
206はい。
207(北野)えっと…。
208(慶子)どういうこと?
(店員)はい。 お待ち遠さまでした。
209(慶子)また 別な男と。➡
210うっ…。 あちっ。
アイス。 アイス 頼んだのに。
211[TEL]
(北野)あっ。 すいません。
212もしもし。
213(乃里子)裕一郎? まだ 学校?
214いや。
今日 ちょっと 用があって。
215(乃里子)ねえ。
今夜 外で 食事しない?➡
216報告したいことがあるの。
217(乃里子)決まったの。 准教授。
218昇任か。 そうか。 よかったな。
(乃里子)うん。
219このまま 講師で
一生 終わるのは 嫌だったから➡
220うれしい。
221面白くない?
女房が 准教授になっちゃったら。
222バカ 言うなよ。 俺は 自分から
研究室 辞めたんだ。
223…にしても
よく 准教授になれたな。
224色々 あったのに。
225女だからかな?
226いや。
227(俊介)誰なの?
知り合い。 ちょっとした。
228(慶子)「ちょっとした」って
何をしたのかしら?
229何もしてません。
ホントに 何でもないの。
230うーん。
近所の人の 知り合い。
231(慶子)どうして 近所の知り合いの
男性と 別々に会うのかしら?
232私 頭が悪いから
よく分からなくて。
233(俊介)何? 立ち話 してたのと
お茶 飲んだのは 違う男なの?
234うん。
(俊介)うーん? どういうこと?
235(慶子)ほらね。
私が 頭 悪いんじゃないでしょ?
236それとも 俊ちゃんも
私の血 引き継いで➡
237頭 悪いのかしら?
(俊介)もう 頭の悪い話は➡
238どうでもいいよ。
分かんなくなる。 もう。
239♬~
240今 申し上げましたとおり
今日 紗和さんが➡
241お茶を 飲んでいたのも
先日 立ち話を されていたのも➡
242私の知人です。 どうぞ
誤解なさらないでください。
243(俊介)何か すいません。
わざわざ 来ていただくなんて。➡
244おふくろ。
もう 分かったよな?
245私 最初から
誤解なんか してませんよ。
246さすが お母さまです。
紗和さんは 内緒で➡
247男性と 会ったりするような方では
ありません。
248そんな方なら 私が お付き合いを
ご遠慮させていただきます。
249私 先月
引っ越してきたばかりなんです。
250紗和さんには
親しくしていただいて➡
251ホントに 助かってます。
(俊介)ああ。
252あっ。
ちょっと すいません。
253あのう。
よかったら いかがですか?
254(俊介)えっ?
ご挨拶代わりに。
255(俊介)うわぁ。 おいしそう。➡
256じゃあ これ 早速 みんなで
頂いちゃっても いいですか?➡
257おふくろも。
(慶子)私 帰って➡
258食事の支度 しなきゃ。
(俊介)えっ?➡
259誰に? 一人じゃないか。
(慶子)仏さんに決まってんでしょ。
26038年 連れ添った
お父さんですからね。➡
261毎晩 欠かさず
ご飯 あげてんです。
262お母さん。
ちょっ ちょっ。 ちょっと。
263これで 借りは 返せたかしら?
お礼は 言いませんよ。
264あなたが 余計なことするから
誤解されちゃったんですから。
265で どうだったの?
北野先生と。
266いいかげんにして。
友情に 感謝して。
267私と あなたは
友達じゃありません。
268私 誰でも いいわけじゃないのよ。
269あなたには なぜだか
いきなり 本音が言えたの。
270あなたも そうなんじゃない?
271エレベーター 来てますよ。
272またね。
273(滝川)こないだの エロチックなの
評判 よかったですよ。
274(加藤)そればっかじゃ
飽きるでしょ。
275(滝川)飽きるくらい
強烈が いいんです。➡
276こう言っちゃ何ですが
1カ月後には➡
277ごみ箱に捨てられる 絵なんです。
278(加藤)分かりました。
279(滝川)ちょっと。
280(滝川)聞いても いいですか?
(加藤)何でしょう?
281(滝川)加藤さん。
あなた 何で 毎回 ああやって➡
282オーダーと 違うものを
描いてくるんです?
283まあ いいや。 ねえ。
たまには 飲みに行きませんか?➡
284加藤さんとは 一度 じっくり
話してみたいと 思ってた。➡
285ごちそうしますよ。
(加藤)遠慮します。➡
286私なんかより➡
287奥さん 連れていってあげたら
どうですか?➡
288さみしさと 怒りで
いっぱいですよ。
289えっ?
ちょっと。 何ですか それ?
290女房の何が 分かるんですか?
291それとも…。 あれ?
何か 話したっていうんですか?
292いえ。
293絵を描いたら 考えてることが
少し分かるだけです。
294いいな。
芸術家は カッコイイな。
295もう 芸術家じゃありません。
296でも 金に 全てを
明け渡したくは ありません。
297なあ。 おい。
ちょっと待てよ。➡
298あんまり なめた口
利かない方が いいぞ。
299(京子)滝川さん。
(滝川)あんたを うのも➡
0:25:18,993 -->
俺の心 一つなんだからな。
301(乃里子)♬「どかーんと 景気よく」
(北野)もう。
302(乃里子)♬「酔ってみようよ」
(北野)危ない 危ない…。 帰るよ。
303(乃里子)♬「都合の悪いことは
知らんぷり」
304(乃里子)ああー。 気持ち悪い。
(北野)飲み過ぎだよ ノリ。
305(乃里子)うん? あれ?
どこのスーパー?
306(北野)うん?
(乃里子)いつものとこじゃないね。
307(北野)高校の近く。
弁当 うまいんだよ そこ。
308(乃里子)ふーん。
309(北野)ノリ。
そんなとこで 寝ないでよ。➡
310ほら。 ベッド 行くよ。
(乃里子)えっ?
311(北野)ほら。 起きるよ。 はい…。
(乃里子)やだ やだ。 違う 違う。
312(北野)違わない。 ほら。 おいで。
(乃里子)違う 違う 違う。
313(北野)しっかり。 はい。
(乃里子)ああー。 裕一郎。➡
314嫉妬しないでね。
315裕一郎が 支えてくれてるから
研究が できるんだもん。
316(俊介)奇麗な人だな。
えっ?
317利佳子さん。 料理も うまいし
頭 良さそうだし。
318いい友達 見つかって
よかったな。
319少しは どきっとした?
何が?
320私が 男の人と
お茶 飲んでたって 聞いて。
321焼きもち 焼いた?
焼くけないだろ。
322 信じてるんじゃなくて➡
323モテないと
思ってるだけじゃないの?
324紗和は モテるじゃないか。
325勤めてるときだって
人気あったろ?
326どうした?
327焼いてよ。
うん?
328人気者を 嫁にしたんだから
ちょっとは 心配してよ。
329たまには 仲良し したいななんて。
330そうだな。
331(せき)
332あれ?
風邪かな?
333(せき)
334クーラーに
当たり過ぎたのかもね。
335それかも。
336(せき)
337(チャイム)
はい。
338(配達員)サイン お願いします。
はい。
339(配達員)ありがとうございました。
ご苦労さまでした。
340はむすけ?
はむみ?
341えっ? はむすけ。
342えっ? はむみ。 はむすけ。
343はむみ。
はむすけ。
344はむすけ? はむすけ?
345はむすけ! どこ 行った?
はむすけ!
346(俊介)どうした?
ごめん。 はむすけが 逃げた。
347えっ!?
348はむすけ! はむすけ?
どこ 行ったの?
349バカ! はむみだよ。
だって 扉が開いてたんだもん。
350何やってんだよ! いつも
慎重にしろって 言ってるだろ!
351怒鳴らないでよ。
352(俊介)あの子たちはね
逃げたら 生きていけないんだぞ。
353(俊介)荒いんだよ。 一事が万事。
ママは がさつなんだよ!
354がさつで 悪かったわね。
その分 あなたが➡
355おしとやかだから
ちょうどいいんじゃない。
356(俊介)開き直るのかよ!
そんなに ハムスターが大切なら➡
357ハムスターと 結婚しなさいよ。
おい!
358ハムスターなら 都合のいいときに
かわいがれば いいだけだもんね。
359お金も掛からない。
文句も言わない。 不満も抱かない。
360いいかげんにしろよ!
ママが 悪いんだぞ!
361うるさい! 私は あなたの
ママなんかじゃない!
362ちょっ。 おい!
363<結婚して 5年>
364<初めて 家を
飛び出しました>
365<でも 行く当てなんて
ありません>
366<あの人に
電話を かけてみたいけど➡
367そんな勇気は ありません>
368<ハムスターは
うまく 逃げ切っただろうかと➡
369思いました>
370[マイク](アナウンス)朝礼を 始めます。
371(博美)パートさんたちも 急いで。
(一同)はい。
372(峰子)「パートさんたちも」だって。
頭くるわね。
373パートじゃないですか。
374(博美)おはようございます。
(一同)おはようございます。
375(博美)朝礼の前に 今日から
契約社員で入った方を 紹介します。
376(博美)萩原 智也さんです。
(智也)萩原です。➡
377よろしく お願いします。
(一同)よろしく お願いします。
378(峰子)ちょっと。
379ちょっと。 どういうこと?
(智也)あっ。
380利佳子を 迎えに行くために
ちゃんと 働こうと思って。
381前のバイトは 辞めてきた。
382ここなら
会えるかもしれないしさ。
383どうかしてる。
ストーカーみたい。
384フッ。 これから よろしく。
いや。 よろしくないよ。
385人の奥さんなんか
相手にしなくても➡
386あなたなら カワイイ子
いっぱい いるでしょう?
387どうせ ぶいぶい
遊んできたんでしょう?
388利佳子が いいんだ。
389利佳子のことを 知り尽くさないと
諦められない。
390ちょっと ごめん。
391[TEL](アナウンス)こちらは
留守番電話サービスセンターです。
392(美鈴)奥さんと
ケンカしたんですか? 課長。
393(美鈴)愛妻弁当じゃないから。
394(美鈴)誰も いません。 そんなに
バカじゃありませんから。
395(俊介)いや。
そういうことではなくて。
396心配しないでください。
重くなったりしません。
397私 既婚者が好きなんです。
398結婚 考えなくていいから
楽なんです。
399♬~0:34:08,922 -->
こんなところで。
401別に。 働いて買った 自分の家を
燃やすなんて➡
402信じられないって
思ってただけです。
403ねえ。 うちで お茶 飲まない?
404子供たちも まだ 帰ってない。
わずかな 私たちの時間よ。
405家庭って 息苦しくなること
あるじゃない?
406あーあ。
私の一生 見えちゃった。
407もう ここから
逃げられないんだなって。
408どうぞ。
409入れ物が 立派だと 余計にね。
まるで あなたも➡
410火を付けたくなったことが
あるみたいな 言い方ですね。
411あるわよ。 全部 ぶっ壊して
しまいたいって 思ったこと。
412まあ 実際には しないけどね。
413家族は 掛け替えのない
大切なものだから。
414あなたが 家族が大切なんて
言っても➡
415説得力 ゼロなんですけど。
私は 大事にしてるわよ。
416夫も 娘たちも
ほら。 満足してるわ。
417すごい自信。 がらがら
崩れなきゃ いいですけど。
418どういう意味?
智也って子➡
419うちのスーパーの 契約社員に
なりました。
420ちゃんと 働いて あなたを
迎えに行くためだそうです。
421そう。 私と付き合ったのも
無駄じゃなかったわけね。
422よりを戻す気は
まったくないけど。
423でも 付き合った男が
成長するのは うれしいわね。
424せいぜい ストーカーに
ならないことを お祈りします。
425あなたも
ぶっ壊したいんじゃないの?
426今の生活を 捨てたいって
思ってるんじゃないの?
427そんなこと 思ってません。
だいたい そんな簡単に➡
428捨てられるわけ
ないじゃないですか。
429それは 失礼。
私は いい ご主人に➡
430カワイイ お子さんに
すてきな家が あるのに➡
431浮気するような 愚かな人間じゃ
ありませんから。
432幸せなんだ。
ええ。 幸せですよ。
433嘘つき。
嘘じゃありません。
434ぜいたくじゃなくても
夫と 一生➡
435仲良く 暮らしていければいいと
思ってますから。
436嘘つき。 あんまり
愛し合ってるようには➡
437見えなかったわよ。
余計な お世話です。
438愛し…。 愛し合ってます。
439嘘つき。
しつこいな。
440あなたは 夫が もう 自分を
愛してないことを 知ってるの。
441だけど 生活を失いたくないから
見ないふりを してるだけ。
442何で そんなことが
言えるんですか?
443私も そうだったから。
444あなたも 正直になった方が
いいんじゃない?
445いつか 爆発しちゃうわよ。
446その手には 乗りません。
うちは 愛し合ってます。
447そう。 分かり合ってるわけね。
ええ。 分かり合ってますよ。
448抱き合えば それだけで
心が 通じ合える?
449はい。
抱き合えば それだけ…。
450トイレ 借ります。
451こっちの方が 近いわよ。
452♬~
453ちょっと。
何してるんですか?
454あった。 北野先生。
455どうして 人の携帯で
かけるんですか?
456しゃべらないわよ。
1回だけ コールして 切るの。
457冗談じゃないわ。
私にも 同じことしていいから。
458あなたも これで かけて。
459落としたい男が いるの。
かなりの難敵。
460難しければ 難しいほど
退屈な毎日を 忘れさせてくれる。
461私も 今の生活を
捨てる気はないわ。
462でも ほんの少し 刺激を求めて➡
463生きる実感を 味わうことが
そんなに 悪いことかしら?
464いらいらして 家族に当たったり➡
465賭け事に はまって
借金 つくるより ましじゃない?
466だまされたと 思って
やってみなさいよ。
467たった1回 コールして
切るだけで➡
468毎日が 変わるから。
469[TEL]
470(乃里子)裕一郎。 ワン切り。
女子生徒からじゃないの?
471(北野)かもな。
(乃里子)フフッ。
472♬~
473[TEL](バイブレーターの音)
474(加藤)ここで 膝立ちになって。
(女性)はい。
475♬~
476そう。 それで いいの。
477友達が 嫌なら
共犯者になりましょ?
478真菜。 陽菜。
ほら。 ご挨拶して。
479(真菜・陽菜)こんばんは。
(俊介)こんばんは。
480はい どうぞ。
どうぞ。 すいません。
481ただいま。
おかえり。
482(真菜)ケンカしたんですか?
(俊介)えっ?
483(真菜)いや。 何か 微妙だから。
真菜。
484ああ。 鋭い。 けさ 結婚して
初めて ケンカしたんだ。
485初めて? 仲がいいのね。
486(俊介)ええ。 まあ。 いやいや。
それほどじゃ ありませんが。
487≪(ドアの開く音)
(陽菜)あっ。 お父さんだ。
488(滝川)ただいま。
(陽菜)おかえり。
489おかえりなさい。
(滝川)大丈夫なのか?➡
490よく 知らない夫婦だろ。
私は すっかり 仲良しよ。
491俺たちに 釣り合うやつらじゃ
ないんじゃないの?
492お邪魔してます。
(滝川)いらっしゃい。
493主人です。
(俊介)こんばんは。 あのう。➡
494初めまして。 初めまして。
笹本と申します。
495(滝川)滝川です。 こんばんは。
(俊介)わあ。 光栄です。➡
496僕 あのう ミノワファニチャーという
家具メーカーの 広報におりまして。
497(真菜)紗和さん。
うん?
498(真菜)携帯 鳴ってますよ。
ああ。 ごめん。 ありがとう。
499(俊介)愛読させていただいて…。
[TEL]0:42:35,929 -->か。
ミノワさんは出稿もありますしね。
501[TEL]
502(陽菜)ねえ? 電話 出ないの?
うん? フフフ。
503(陽菜)何で?
[TEL]
504(陽菜)微妙なの?
[TEL]
505(北野)お前たち まだ 高校生だ。➡
506ちゃんと 自分で
責任 取れる年齢…。
507離れろ。
ああいうことは 控えなさい。
508[TEL](北野のメッセージ)
もしもし 北野です。➡
509お電話いただきましたでしょうか?
510(まなみ)フフッ。
ああいうことって?
511肉体関係だよ。
512[TEL](北野のメッセージ)何か ご用件なら
いつでも ご連絡ください。
513(啓太)キスしてただけだろ。
でも➡
514責任 取れる年齢って
幾つのこと 言ってんだよ?➡
515あんたら 大人の方が
無責任に➡
516やりまくってんだろ。
(北野)離れろ。
517[TEL](北野のメッセージ)何か ご用件なら
いつでも ご連絡ください。
518[TEL](北野のメッセージ)
《もしもし 北野です》➡
519《お電話
いただきましたでしょうか?》➡
520《何か ご用件なら
いつでも ご連絡ください》
521≪すいません。
522お弁当 どこですか?
523(北野)ちゃんと 愛情 育んで。
(啓太)こいつのこと➡
524好きになんか なんねえから。
525(啓太)ただ やりたかっただけ。
こいつも そう。 なあ?
526(まなみ)うん? あっ。 うん。
そうだよ。 交尾だよ 先生。
527(乃里子)主人と 食べ比べようと
思って。
528ああー。
ご主人 好き嫌い ありますか?
529(乃里子)うーん。
意外と 肉食かな?
530≪(部活をする生徒たちの声)
531[TEL](バイブレーターの音)
532もしもし。
533(セミの鳴き声)
あっ。 もしもし。 笹本です。
534昨日の電話 間違えて
押してしまって。
535そうだったんですか。
[TEL]お騒がせしました。
536いえ。
すいません。
537[TEL](北野)もしもし。
もしもし。
538ないてませんか?
539いや。 泣いてないですよ。
540セミです。
そっち 鳴いてますよね?
541(セミの鳴き声)
542ホントだ。 鳴いてる。
543(セミの鳴き声)
544≪(部活をする生徒たちの声)
545[TEL](セミの鳴き声)
546(セミの鳴き声)
547[TEL](セミの鳴き声)
548♬~
549♬~
550♬~
551♬~
552この間 お電話したんですよ。
553みたいですね。
あら。
554私の番号だって
分かったんですか?
555加藤さん。
私のことが 好きなんですね?
556だって 何とも思ってなかったら
折り返しませんか?
557仕事関係者の 家族なんだから。
558私のこと 描いてくれる気に
なりました?
559高いですよ。
560覚悟してます。
561まず デッサンから始めます。
こちらへ。
562♬~
563ここ? すてきね。
(加藤)そこに 立って。
564ここで いいかしら?
565(加藤)脱いでください。
566どうしました?
僕に 描いてほしいんでしょ?
567ありのままを。
568≪(雷鳴)
569早く。
570♬~
571無理 無理 無理 無理。
絶対 無理です。
572(北野)大丈夫ですって。
いやいや いやいや…。
573ホントに。
(北野)これ 触ってみなきゃ➡
574相手のこと
分からないじゃないですか。
575相手って。
クワガタって➡
576同じ種類でも 大きさによって➡
577この大顎だったり
歯の生え方 違うんですよ。
578ほら。
ああ。
579個体変異っていって
幼虫のころの環境によって➡
580どういう形になるか
決まるんです。
581大きく分けると
この大歯型 中歯型 小歯型の➡
5823つに 分けられるんですけど。
あっ。
583まずいな。
あっ。 私 傘 持ってます。
584あっちまで 走りましょう。
はい。
585すいません。
(北野)強くなってきた。
586うわ!? 大変!
(北野)急いで。
587すごい。
588北野先生。 大丈夫ですか?
(北野)はい。 あそこ。
589あっ ホントだ。
590(北野)足 速いですね。
陸上部だったんで。
591走るの 苦手ですか?
592僕 子供のころから 1回も
チョウとか トンボとか➡
593捕まえることが
できなかったんです。
594えっ?
595あっ。 靴。 ほどけてますよ。
ホントだ。
596これ 持ってて。
597♬~
598<男の人は いつも ずるい>
599<ドアは たたくくせに
自分では 開けよとしません>
0:50:28,868 --> ここだよと
優しく 声を掛けてあげなければ➡
601何事も なかったふりをして
通り過ぎてしまうのです>
602<それが 禁断の扉なら
なおさら>
603♬~
昼顔~平日午後3時の恋人たち~03
1(紗和)
<何て 惨めなのでしょう>
2<久しぶりに 男の人と
二人きりになって➡
3舞い上がってしまったのかも
しれません>
4<できることなら
全部 消してしまいたい>
5<自己嫌悪で
涙も出ませんでした>
6♬~
7♬~
8♬~
9(利佳子)ちょっと待って。
10♬~
11♬~
12(加藤)自分が 何してるか
分かってんのか?
13(加藤)俺が 旦那に
告げ口したら どうするつもりだ?
14あなたは 言わない。
ハッ。
15首になんのが 嫌だから
言わないと 思ってんのか?
16あなたは
ひきょうなことは しない。
17そんな言葉で 喜ぶと思うな。
18男 なめてると
そのうち 痛い目に遭うぞ。
19あの 見た目だけ 奇麗な家で➡
20うわべだけの亭主と
暮らしてんのが➡
21あんたには お似合いだ。
22♬~
23♬~
24≪(ドアの開閉音)
25≪(乃里子)おかえり。
26(北野)帰ってたんだ?
(乃里子)うん。➡
27ごめん。 講演の原稿 書いてて
集中しちゃってた。
28(北野)おう。
(乃里子)傘 持ってってたんだ?
29(北野)うん。
(乃里子)うん。
30(北野)えっ?
講演って 何の講演?
31(乃里子)理学部の 記念講演会。
准教授 就任の記念に やれって。➡
32断れないよね。 はい。➡
33裕一郎。 来てくれるよね?
(北野)うん?
34(乃里子)来てよ。
私の 晴れ舞台だよ。
35(北野)分かった。 行くよ。
(乃里子)よかった。
36あっ。 ねえ。
准教授になってもさ➡
37名前は 今までどおりで
いいよね?
38折原の方が みんな
慣れてるっていうし➡
39お父さんも 喜ぶからさ。
(北野)うん。
40ノリの したいように
したらいいよ。
41(乃里子)よーし。 やった。
ああ。 おなか すいた。➡
42ご飯にしよう?
(北野)うん。 よいしょ。
43(乃里子)よいしょ。
44あっ。 ごめん。
作る暇 なくて。
45いいよ。 うまそうじゃん。
46≪(ドアの開閉音)
47≪(俊介)すごい雨だったな。➡
48タクシー乗り場さ
行列だったよ。➡
49はむみ 大丈夫かな。
心配だな。
50(俊介)ママ?
51(紗和)あっ。 ごめん。 何?
52(俊介)はむみ。
風邪 ひいてないかな。➡
53ああ。 チラシ 作ってみたんだ。
迷い子の。 どう?
54(紗和)無駄でしょ。
(俊介)えっ?
55犬じゃないんだから。
ハムスターが 見つかったって➡
56どこの ハムスターか
分かんないよ。
57それとも 逃がした私への
当て付け?
58(俊介)そうじゃないよ。
59だったら
バカみたいなこと 言わないでよ。
60ハムスターは
雨に ぬれたぐらいじゃ➡
61風邪なんて ひかないし
心配しなくたって➡
62その辺のもの 拾って
むしゃむしゃ 食べてるから。
63(俊介)どうかしたの?
どうかしてんの そっちでしょ。
64もう 付き合いきれない。
65(俊介)ごめん。 ママ。
何で 謝んの?
66だって 怒ってるから。
やめてよ。
67取りあえず 謝ろうなんて
おかしいよ。
68悪いと思わなきゃ
謝らないで。
69<私は 最低です>
70<彼に 拒絶された いら立ちを
夫に ぶつけました>
71<でも 当たる相手がいて
よかったと思ったのも 事実です>
72<夫婦の存在価値なんて 案外
こんなものなのかも しれません>
73♬~
74[TEL]
75もしもし。
[TEL]お洗濯 お疲れさま。
76何か?
[TEL]元気ないじゃない。
77顔 見えるんですか?
78主婦って 毎日
同じこと してるようで➡
79微妙に 違う。
80干した洗濯物 ぼうっと見てると➡
81どっかへ
消えたくなっちゃうわよね。
82まあ ご機嫌って
気分じゃないです。
83[TEL]北野先生に 振られた?
変なこと 言わないでください。
84私も 振られたわよ。
85[TEL]幾つになっても 切ないわね。
昨日は 眠れなかった。
86へえー。 利佳子さんにも
眠れない夜って あるんですね。
87恋愛って 前の経験が
ほとんど 役に立たないのよね。
88いつも ゼロから やり直し。
だから 好きになるのかも。
89でも うまくいかなくて
よかったんじゃないですか?
90しょせんは 不倫。
91周囲に バレたら
人生 終わりですよ。
92引き返せて ラッキーなんです。
それは バレなきゃいいってこと?
93えっ…。
だったら➡
94ほんの少し 行動に
気を付けるだけで 大丈夫よ。
95家に 男を 連れ込むようなことを
しないかぎり➡
96妻の不倫を
見抜ける夫なんて いないから。
97私は 引き返さない。
98私のことを
見てくれてる人が いなきゃ➡
99何のために 生きてるか
分からないもの。0:08:39,827 -->
同じ気持ちのはずよ。
101どうして 私を
引っ張りこもうと するんですか?
102もう二度と 北野先生に
会う気もありません。
103私 パート 行くんで。
104<偉そうに 言ったけど➡
105ホントは 彼女の言うとおりかも
しれません>
106<もし 絶対に
バレないと 分かっているなら➡
107私は もう一度
彼に 会いに行くでしょう>
108<「どうして 私の気持ちを
分かってくれないの?」と➡
109泣きながら
胸に 飛び込むでしょう>
110<私も 彼女と同じ。
一皮 むけば➡
111背徳の恋に 憧れる
軽蔑すべき 女なのです>
112飲み会?
(滝川)そう。➡
113校了上がりで 焼き肉&カラオケ。
114ねえ。 そういうのって
加藤さんも 行くの?
115(滝川)えっ? 画伯?
行かないよ。 何で?
116この前 来たときに➡
117「うちの食事は 口に合わない」って
言ってたから。
118無礼者だな。
気にしないで いいぞ。
119気になんて してないわ。
120ただ どういう生活してる
人なのかなと 思っただけ。
121さあな。
誰も 知らないんだよな。
122興味があるのか? 画伯に。
123この間さ もう1回
絵を描いてほしいって➡
124言ってたじゃん。
実は かなり あるわ。
125ほう?
だって➡
126今までに 会ったことのない
危険なタイプだもの。
127お前みたいな ぜいたくな女が➡
128あんな 貧乏画家に
興味 持つわけないだろう。
129失礼ね。
人を お金で動くみたいに。
130私は 本当は 道ならぬ恋をして
駆け落ちするのが 夢なのよ。
131はいはい。
132(峰子)よしと。
お願いします。
133うわっ。 お金のことばっかりじゃ
ないですか。
134(峰子)「イケメンと
恋に落ちる」っていうのが いいか?
135ああ。 それは 大金が落ちてるより
可能性 低いですね。
136(峰子)あんたね
遠慮ってもんを 知りなさいよ。
137ああ…。 すいません すいません。
(峰子)投げ飛ばしてやりたい。
138≪(従業員)峰子さん。
こっち 手伝ってください。
139(峰子)はいはい。
あっ。
140(智也)七夕か。
141ああ。 店長が 従業員も
自由に 願い事 書いていいって。
142ちょっと。
それは まずいんじゃない?
143(智也)俺は いちずなの。
いちずっていうか…。
144誰も 読まないか。
145(智也)紗和ちゃんも 書いたら?
「紗和ちゃん」って。
146別に 私 願い事とか ないから。
(智也)さみしい。
147さみしくないわ。
幸せって 言って。
148(智也)幸せそうには
見えないんだよな。
149大きな お世話。
150(まなみ)ねえ ねえ。 啓君。
ねえ。 啓君。
151(北野)後藤。
(まなみ)えっ?
152(北野)お前 落書きしてんなよ。
(まなみ)うまいじゃん。
153(北野)ちゃんと 解け。
(まなみ)分かんない。
154木下も 起きろ。
155(北野)お前 よく頑張ってんな。
156(生徒たち)イェーイ!
(北野)何やってんだよ。
157取ってこい。
木下。
158♬~
159♬~
160♬~
161(智也)傘 ないの?➡
162送るよ。 俺も 今日 早番だから。
いいよ。 大したことないから。
163(智也)っていうか
さっきは ごめん。
164「幸せそうに 見えない」なんて
言って。
165どうしたの? 急に。
(智也)ごめんなさい。 すいません。
166(智也)言われたくないよね。
年下の男に そんなこと。
167ふーん。
「ふーん」って?
168いや。 利佳子さんが 何で
あなたとなんか付き合ってんのか➡
169不思議だったけど 真面目で
カワイイとこ あんだね。
170「あんたなんか」は ないだろ。
これでも モテんだよ。
171結婚してる女が リスクを背負って
付き合うわけだから➡
172ただ カッコイイだけじゃ
駄目なの。
173なるほど。 じゃあ
自信 持っていいのかな?
174一度は 付き合えたわけだから。
175どうだろ? ただの
気まぐれだったんじゃない?
176えっ。 ひでえ。
あなたなら 思ったこと 言えるわ。
177えっ? それって
俺に ほれたかもってこと?
178はあ?
申し訳ない。
179俺 今 利佳子しか
考えられないから。
180バッカじゃないの?
好きじゃないから➡
181何でも 言えるんじゃん。
(智也)何だよ。
182(智也)あれ?
あんときの 先生だよね。➡
183あっ。
あっ。 ちょ…。
184あのう。 これ。
185突然 失礼しました。
186♬~
187♬~
188≪(チャイム)
189≪(チャイム)
190♬~
191<不倫は 夢物語ではありません>
192<妻でありながら
人を好きになる 女なんて➡
193常識で 考えれば
壊れた機械のようなものです>
194<あの人は たぶん 私のことを➡
195誰とでも 相合い傘をする
軽い女だと 思ったでしょう>
196<悲しいけど ほっとしました>
197<嫌われた方が
変な期待を持たずに 済みます>
198<これで もう あの人と
会うことは ないでしょう>
199<さよなら。
惨めな恋>0:18:42,796 -->
愚かで みっともない私>
201<さよなら。
北野さん>
202♬~
203≪(鳴き声)
204はむみ?
は… はむみ。
205はむみ?
206あっ!
207消しちゃった。
≪(チャイム)
208(慶子)ネズミ 逃げたんだって?
209はあ。
私が 逃がしちゃったんです。
210でも 今…。
211(慶子)あら ホント。
さみしそうねぇ。
212買ってこられたんですか?
213(慶子)独りぼっちは
よくないもの。➡
214こんにちは。
新しい奥さんよ。
215「新しい奥さん」って。
216(慶子)もう 仲良くしてる。
会ったばっかりなのに。 見て。
217俊介さんも 新しい奥さんの方が
うまくいくかもしれませんね。
218(慶子)そんなふうに 取らないで。
219私は あなたたちが 仲良くして➡
220たくさん 子供 つくってくれんの
望んでんのよ。
221さて。 夕飯の支度 手伝うわ。
俊介 何時ごろ 帰ってくんの?
222また ヤマイモ 買ってきたわよ。
223ヤマイモと レバニラ。
ねえ。 食べ物は 大事よ。
224何てったって あなた
食べ物 しっかり 食べないとさ。
225お母さん。
野菜は 大事。
226子供は 無理かもしれません。
227期待されてるので
言えなかったんですけど。
228きっと 孫は 抱けないと思います。
229どういうこと?
230(俊介)ああっ!
231(美鈴)課長のこと
待ってたんですよ。
232(俊介)えっ?
そういうのは どうなんだろう?
233どういう問題なの?
あっ。 俊介さんに聞いてください。
234(美鈴)お疲れさまでした。
(俊介)お構いなく。
235≪[マイク](司会)分子生物研究室の
折原 乃里子先生です。➡
236折原先生。 お願いいたします。
≪(拍手)
237♬~
238≪[マイク](乃里子)ただ今 ご紹介に
あずかりました 折原です。➡
239現在の 私の研究内容は…。
240♬~
241(智也)相合い傘。 あの先生に
見られたの まずかった?
242別に。
(智也)でも…。
243くだらないこと 言ってないで
働きなさい。
244こんにちは。
245利佳子。
どなた?
246俺に あ… 会いに
来てくれたんじゃないの?
247誰かと お間違いじゃないですか?
248ねえ。 七夕用の ササは
ないかしら?
249子供たちが 飾りたがってるの。
こちらです 奥さま。
250さすがに 冷たくないですか?
251出会いは 思わせぶりに。
別れは 残酷に。 女の鉄則。
252どうぞ。 織り姫さま。
253そちらには
短冊の ご用意もございます。
254(乃里子)あっ。 懐かしい。
255あっ。
こないだの方ですよね?
256どうも。
ありがとう。 おいしかった。
257ああ。 よかった。
本日は➡
258スパイスたっぷり唐揚げ弁当が
お薦めです。
259ごめんなさい。 今日はね
作らなきゃいけなくて。➡
260いつも お弁当だと
主人の機嫌が 悪いので。➡
261でも 私 料理 大嫌いだから➡
262何 作ったらいいのか
全然 分かんなくて。
263でしたら こちらの奥さまに
相談されると いいですよ。
264とっても 料理が上手な
主婦の鑑ですから。
265えっ?
(乃里子)へえー。
266あった。
このとおりに やれば➡
267失敗 ないから。
(乃里子)あっ。
268ねえ。 何人家族?
(乃里子)主人と 2人です。
269だったら 酢豚と
サラダでも 作って。
270後は カツオのたたきでも
買っていけば?
271具合でも 悪いの?
272ああ。 あのう。 揚げたりとか
炒めたりとか 読んでたら➡
273ぞっとして
気持ち悪くなってきたっていうか。
274そんなに嫌なの? フフフ。
275(乃里子)ちょっ。
笑わないでください。
276今夜 うちで 一緒に
食事することになったの。
277早っ。
ちょうど 子供たちと➡
278七夕の お祭りをしようって
言ってたから。 3家族で➡
279にぎやかに やりましょう。
3家族?
280あなたも ご主人と一緒に
いらっしゃい。
281この人も ご主人を呼ぶから。
282大丈夫?
断れなくて 困ってない?
283(乃里子)まさか。
ご飯 作らなくていいなら➡
284大喜びで 行きます。
285(滝川)へえー。
今回は いいんじゃないですか?
286(加藤)そう おっしゃると
思ってました。
287(滝川)悪魔に 魂を
売った気分でしょ?
288とんでもない。
編集長には 感謝してます。
289オーダーしてくれる おかげで
食えてるんですから。
290(滝川)ちょっと 気味が悪いな。➡
291今日は ずいぶん
素直じゃないですか。
292お疲れさまでした。
293あっ。 加藤さん。
ちょっと。➡
294このモデルは?
(加藤)気になりますか?
295(滝川)いや。 気になるというか
単純に 聞いています。➡
296編集長として。
297言えません。
298(滝川)あんたさ 本気で
食っていきたいと 思ってる?
299もちろんです
0:27:07,868 -->も
そうは思えない。
301あなたは 前から
私が 気に入らないようですね。
302それは あなたの方でしょ。
303(加藤)絵描きなんて➡
304子猫を 奪われたばかりの
母猫のようなもんです。➡
305周囲は 敵ばかりだと
思ってるだけですよ。
306(滝川)その 気が立った猫を
私は 雇っています。➡
307嫌いじゃ できませんよ。
少しは 信頼してください。
308誰なんです?
このモデル。
309言えません。
310[TEL]
311[TEL]
(滝川)あっ。 申し訳ありません。➡
312加藤さん。
[TEL]
313今日かぎりで
契約は 終了にします。
314[TEL]
315[TEL]
(加藤)なら こいつは➡
316いらないですね。
[TEL]
317俺が 頂きます。
[TEL]
318[TEL]
319(滝川)もしもし?
320今夜ね 紗和さん夫婦と
もう一人の お友達を呼んで➡
321うちで 七夕を
やることになったの。
322七夕か。
323あっ。 なあなあ。
それよりさ➡
324お前が 興味を持ってた
加藤画伯な 首にしたよ。
325そう。 あなたと
合いそうにないもんね。
326[TEL](滝川)フッ。
ああ。 すっきりしたよ。➡
327じゃあな。
[TEL](通話の切れる音)
328(北野)うーん。 俺は いいや。
初対面の人 苦手だし。
329(乃里子)そんなぁ。
一緒に行ってよ。
330私の 主婦デビューなんだから。
331(北野)じゃあ 仕事が 片付いたら
電話するわ。
332ねえ。 来られそう?
333[TEL](俊介)ああー。➡
334取引先と 打ち合わせ中で
少し 遅くなりそうだから➡
335先 行ってて。
[TEL]分かった。 じゃあね。
336紗和さんね。
何だって?
337(俊介)友達の家に
一緒に 行こうって。
338(慶子)仲いいじゃないの。➡
339どういうことなの?
子供は できないって。
340(俊介)回りくどく言うと
誤解するかもしれないから➡
341はっきり 言うよ。
(慶子)うん。 はっきり 言って。
342俺たち…。 まあ いわゆる…。
(慶子)いわゆる 何? 俊ちゃん。
343ごめん。
やっぱり これは 無理。
344夫婦で 解決すべきことだから。
(慶子)いわゆる セックスレス?➡
345やっぱり そうなのね。
(従業員)失礼します。
346(慶子)あなたたち
セックスレスなのね。
347(俊介)あっ。 いや。 あのう。➡
348かあー。
(慶子)どうも。➡
349紗和さんと 離婚したいの?
350(俊介)いや。 俺たち
仲は いいんだよ。➡
351あのう。 ただ…。
(慶子)目をつぶって できないの?
352そういう男性だって いるって
いうじゃないの。
353勘弁してよ お母さん。
(慶子)ぼやぼやしてたら➡
354紗和さんだって 他の男に
とられること あるわよ。
355紗和に そんな相手 いないよ。
356(真菜・陽菜)
♬「ささのは さらさら」➡
357♬「のきばに ゆれる」
358できたわよ。
359真菜ちゃん 陽菜ちゃん どうぞ。
(真菜・陽菜)はーい。
360(陽菜)お父さんは?
(真菜)こんな早く➡
361帰ってこれるわけないじゃん。
まあ 織り姫だけで 食べましょう。
362そのうち ひこ星たちも
帰ってくるわ。
363≪(乃里子)わぁ。
洗面所も 広いんですね。➡
364うわぁ。 おいしそう。
学食ばっかりだから うれしい。
365学食?
あっ。 学生さんなんですか?
366(乃里子)あっ。
私 大学に 籍を置いてるんです。➡
367はい。
(真菜)すごい。 教授なの?
368(陽菜)教授?
(乃里子)教授じゃなくて 准教授。
369(乃里子)大きな違いなのよ。
でも すごいわ。
370理系の先生なんて 大したものよ。
(乃里子)全然。➡
371就職するのが 嫌で
勉強しただけ。
372主人のことを 愛してるけど➡
373お料理も 掃除も 大嫌いで
ひどい奥さんなんです。
374じゃあ 座って。
(乃里子)はい。
375ご主人も 学者さんなんですか?
(乃里子)ああ。 一応 研究畑かな。
376≪(笑い声)
377≪(一同)せーの。
♬「ささのは…」
378(滝川)こんばんは。
(俊介)ああ。 どうも。
379(滝川)女房の友達に
付き合うなんて➡
380気が重いでしょう?
381(俊介)いや。
そんなこと ないですけど。
382(滝川)じゃあ 行きましょう。
383(智也)紗和ちゃんなら
3時までだよ。➡
384あっ。 誤解しないで。
俺と彼女 何もないから。
385(俊介)今月号の特集
面白いですよね。
386(滝川)「昼顔妻」
うちの 一番人気ページ。➡
387主婦を あおって
責任 取れるのかって➡
388批判もあるけど。
389(俊介)おおー。
気にすることないですよ。➡
390世の中 真面目になり過ぎたら
つまらない。
391(乃里子)外で 働きたいって
思ったこと ないんですか?
392私は ずっと 家にいるなんて
耐えられそうもないな。
393外に出る方が 楽よね?
394でも 男って 俺が 妻子を
養ってやってるんだって➡
395思いたがるでしょ。
396父親として
頑張ってもらうためにも働かない。
397たとえ お給料が下がっても。
398そこまで 計算してるなんて
ホント 完璧。
399でも 利佳子さんだって
眠れない夜は あのよ。
0:35:34,874 -->夜。
ねっ。
401えっ?
どんなときですか?
402うーん。 夫婦ゲンカした夜とか?
ああー。
403紗和ちゃん。
404恋が うまくいかないときって
言いたいんじゃないの?
405恋?
406私ね 夫以外に
好きな人が いるの。
407もちろん 夫には
知られないように してるわよ。
408完璧に。
409(滝川)だが しかし
もし 自分の女房が➡
410昼顔妻だったら どうします?
(俊介)ハハハ。
411うちのは ないですよ。
412私もね ずっと
そう思ってたんですけどね。
413ちょっと。 乃里子さん
びっくりしてるじゃない。
414ごめんね。 嘘だから。
415この人ね 料理は 上手なんだけど
時々 変なこと 言いだすの。
416いえ。 大丈夫です。
そんなに 子供じゃないから。
417私も 不倫の経験 あります。
えっ。
418とはいっても 結婚前のことで➡
419妻子ある人と お付き合い
したことが あるんです。
420大学の教授でした。
泥沼になって 傷ついて➡
421それを 慰めてくれたのが
今の主人なんです。
422強い。 それを乗り越えて
偉くなったのね。
423ねえ? 紗和ちゃんも
何か 告白して。
424私たちだけなんて ずるい。
425えっ? 私?
うん うん。
426この人に 面白い話なんか
期待しても 無理よ。
427そんなこと ないよね?
428見掛けによらず
激しいところ ありそう。
429いやぁ。 私?
私は…。
430案外 「灯台 下暗し」なんてことも
あるんじゃないかと 思いまして。
431またまた。
432彼女に
会いに行ったわけじゃないよ。
433(智也)じゃあ 何で来たの?
434(北野)ちょっと
謝りたかったの。➡
435失礼な態度 取って
傷つけちゃったから。
436(智也)それの どこが
会いに来てないんだよ?➡
437あんたと 紗和ちゃんって
似てるね。➡
438学校の先生だろうと 人妻だろうと
誰かを どうしようもなく➡
439好きになることって
あるんじゃないかな?
440高校のときに 担任の先生を
好きになったことがある。
441先生も 私のこと
好きになってくれて➡
4422人で 会うようになったの。
それで? しちゃったの?
443何にもしてない。
えっ?
444でも 噂が広がって➡
445ホテルに行ってたとか
嘘ばっかり 言われて。
446友達が 手のひら 返すように
いなくなっちゃった。
447それから 友達 つくるのが
怖くなって。
448仲良くしてても すぐ
いなくなっちゃうんじゃないかって。
449私は いなくならないわよ。
450だって 共犯者だものね。
451共犯者? もしかして
紗和ちゃんも 恋してるの?
452(智也)これから 行かない?
(北野)どこに?
453(智也)俺 あんたの織り姫の家
知ってるんだ。➡
454行ってみようよ。
(北野)バーカ。➡
455向こう 旦那 いんだぞ。
456(智也)バカ。 その つらさは
よく 知ってるよ。➡
457でも 行くだけなら いいだろ。
窓 見るだけでも ドキドキ…。
458(北野)駄目だ。 こっちだって
かみさんと 約束あんだ。
459(智也)何だよ?
つまんねえやつ。➡
460じゃあ 俺に勝ったら 行けよ。
なっ?
461(智也)ほら。
462(智也)レディー ゴー。
463ないない ないないない。
恋ってほどじゃないの。
464でも ちょっとだけ
いいなって 思っただけ。
465でも もう 諦めた。
466つまらない人でしょ。
自己完結。
467高校のときと 同じじゃない。
468一生懸命 我慢して
何もしなかったのに➡
469噂になったんでしょ?
うん。
470だったら 思うままに
生きればよかったと 思わない?
471私も そう思うな。
472本気? ねえ?
ちょっと 感化されてない?
473基礎研究のときに
2人の人間が 出会う確率を➡
474試算したことがあるの。
475詳しいことは 省略するけど
世界の人口に対して➡
476誰かが 誰かと 出会う確率は➡
477およそ 180億分の1。
ああー。
478とんでもなく
奇跡的な数字なんです。
479出会いは 奇跡。
大事にした方が いいですよ。
480ただいま。
481仕事 首になったって
聞きました。
482パンは
お気に召さなかったようだから➡
483今日は おにぎりにしたわ。
484(加藤)胃袋 つかんで
男を 喜ばせようなんて。 フッ。
485安っぽい手だ。
486そう。
487おい。
488あの絵って?
これ 出したら 首になったよ。
489あんたさ➡
490普通の女が 欲しがるもん
何でも持ってんのに➡
491どうして そんな 腹 減ってんの?
492腹が減ってるのは そっちでしょ?
たくさん 召し上がれ。
493うっ!? 辛っ!
494毒入りよ。
495嘘。 うちの料理は
口に合わないって 言ってたから➡
496ハラペーニョを
余分に 入れてみたの。
497私ね こう見えて
自分から 男には 迫らないの。
498男の楽しみを 奪いたくないから。
499でも あなたには そんな気遣いを
してあげる必要 さそうね。
0:45:25,864 -->ます。
はい。
501(智也)おはよう。
おはよう。
502(智也)あっ。
昨日 北野先生が来たよ。
503紗和ちゃんを 傷つけたって
気にしてた。
504♬~
505♬~
506こんにちは。
507♬~
508♬~
509(石の転がる音)
510痛っ!? 痛え。
511あっ。
512(北野)大丈夫ですか?
あのう。
513私 傷ついてませんから。
そこ 赤くなってますから。
514こっちじゃなくて。
どっちにしても➡
515気になさらなくて 結構です。
516待って。
517あのう。
518あの公園に
もう一度 行きませんか?
519クワガタの話も 途中でしたし。
520私 ご飯
作んなきゃいけないんです。
521(北野)もちろん 日が暮れるまで。
522やらしい。 今度は そっちから
しようと 思ってるんでしょ?
523こっちから。 何を?
しらばっくれて。
524キ… キスに 決まってるじゃない。
何で そんな発想になるんですか?
525いかにも そういうこと
考えてそうだからですよ。
526最初から 僕のこと
そんなふうに 見てたんですか?
527知りませんよ そんなこと。
この エロ教師。
528はっ? だったら あなた
エロパート。 エロ主婦。 エロ主婦。
529はっ? 失礼な。
この むっつり眼鏡。
530そっち 行きますね。
531<ケンカでも 何でもいい>
532<優しい言葉なんて いらない>
533<ただ この人と 少しでも長く
一緒に いたい>
534♬~
535何か 言ってくださいよ。
(北野)はい。
536(北野)僕は 傷つきました。
537あなたが 相合い傘してて。
538すいません。
どうかしてますね。
539いえ。
540私も ホントは
すごく 傷つきました。
541♬~
542♬~
543♬~
544(まなみ)だっさ。
中坊みたい。 ねえ? どうする?
545(啓太)どうすっかな?
546♬~
547<正直に言います>
548<私は このまま どこか遠くへ
行きたいと 思いました>
549<まだ 世界を敵に回す覚悟も
できていないのに>
550♬~
昼顔~平日午後3時の恋人たち~04
1♬~
2(紗和)<この人は
奥さんのいる人>
3<私は 夫のいる身>
4<分かっています。 これ以上
親しくなっては いけません>
5<絶対に>
6(紗和)キャッ。
(北野)えっ?
7(紗和)電流 走った。
8なんて 嘘。 フフフ。
9ホント。
10♬~
11(利佳子)今 何時?
12(加藤)もうすぐ 5時。
帰るわ。
13(加藤)随分だな。
14子供たちが 帰ってくるから
5時には 出たいの。
15手慣れてるね。
16冷める?
いや。
17そっちは
口ほどでも なかったわね。
18芸術家って
どんなのかと 思ったけど➡
19案外 普通で 驚いたわ。
20褒めてるつもりだけど。
ハッ…。
21♬~
22ねえ。 時々 会わない?
23平日の 午後 3時から 5時までの
2時間なら 自由が利くわ。
24不満?
25主婦が出せる 現金は
これが 限界よ。
26余裕があるように
見えるかもしれないけど➡
27うちは 夫が
お金を 握ってるから。
28他の男にも
こんなこと してんの?
29お金を払うのは
あなたが 初めてよ。
30ねえ。 支援させて。
31お金で 割り切った関係の方が
いいでしょ?
32フッ。 これっぽっちの金で
パトロン気取りかよ。
33「割り切った関係」?
34そんな 手あかの付いた言葉
吐いて 恥ずかしくないのか?
35抱いたくせに
説教しないでほしいわね。
36ああ。 抱いたよ。
37薄っぺらな情事をした。
あんたの 望みどおりに。
38一度 出したものは 結構よ。
39こんな金 もらうなら
餓死した方が ましだよ。
40ほら。 何してる?
5時 回ってるぞ。
41お子さんが お稽古から帰ってくる
お時間ですよ。 奥さん。
42♬~
43(北野)この虫 知ってます?
カマキリ?
44(北野)オオカマキリって
いいます。➡
45鎌状の前脚の付け根が
黄色いのが 特徴なんです。
46ああ。 よく見ると カワイイ。
(北野)でしょ?
47あっ。 眼鏡みたい。 フフフ。
(北野)ハハッ。➡
48でも カマキリの雌は
交尾中に➡
49雄を 食べてしまうことが
あるんですよ。
50いきなり 交尾の話ですか?
51(北野)雌は 動くもの全てを
餌だと 認識するんで➡
52雄は 見つからないように
様子をうかがって➡
53背後から 一気に
飛び掛かるんです。➡
54でも 雄が もたもたしていたり
油断してると➡
55雌は 頭をひねって がぶっと
雄の頭に 食らいつきます。
56怖いんですけど。
(北野)壮絶な 生殖活動です。➡
57雄は 頭を 失いながらも
もう 胴体だけで➡
58最後まで 交尾を行って
そして 息絶えます。➡
59雌は 死んだ雄なんか…。
あのう。 もういいです。
60(北野)僕は
こんな話しか できません。
61(北野)面白い男では ありません。
62私 笑いたくて 来たわけじゃ
ありません。
63♬~
64あっ。 北野先生。 トンボ トンボ。
65(北野)あれ
シオカラトンボですよ。
66へえー。
67(北野)何か 「先生」って言われると
昆虫採集教室みたいですね。
68いいじゃないですか。
昆虫採集教室。 面白そう。
69(北野)真に受けますよ。
今度 助手にしてください。
70(北野)僕 厳しいですよ。
木の上とか➡
71平気で 登らせますから。
半ズボンで 頑張ります。
72(北野)ハハハ。
フフフ。
73私 そろそろ 帰らなきゃ。
74(北野)旦那さん
お帰り 早いんですか?
75あんまり 聞かないでください。
主人のこと。
76(北野)すいません。 つい。
77でも やっぱり 聞きたいな 私も。
奥さんのこと。
78何て名前ですか?
どんなタイプですか?
79奇麗系?
それとも カワイイ系?
80(北野)僕 もう 聞きません。
二度と。
81私も。
82昆虫採集。
今度の木曜日 どうですか?➡
83あの橋の向こうに
景色のいい 高台があって➡
84奇麗な タマムシの 食樹になる
エノキが あるんです。
85ホントに
連れてってくれるんですか?
86僕 終業式だけだし
午後の早い時間には 体 空きます。
87パートが 終わったら
すぐに 連絡します。
88ああ。 じゃあ。
(北野)じゃあ。
89(まなみ)いらつく。
キスぐらい しろよな。
90(啓太)決定的瞬間は また あるよ。
(まなみ)えっ?
91(啓太)あいつら 絶対
後戻り できねえから。
92<白状します。
罪悪感は ありませんでした>
93<話を しただけ。
手を つないだだけ>
94<まだ 不倫じゃない>
95<夫の顔なんて
浮かんできませんでした>
96(俊介)あー。
おはよう。
97(俊介)おはよう。
98(俊介)あれ? 今日は 朝から
ごちそうだね ママ。
99そうかな? パート先で
北海道フェア やてたから。
0:10:19,876 -->
ジャガイモか。 いいね。
101(俊介)いただきます。
102何?
いや。
103いつも 弁当 悪いな。
ああ。 いいよ。
104外食じゃ 栄養 偏るでしょ?
あっ。 ねえ 見て
105今日はね 牛
106(むせる声)
ちょっと。 大丈夫?
107だ… 大丈夫。
ありがと。 ママ。
108パパも 年なんじゃない?
人間ドック 行ったら?
109アラフォーだもんな。
110<もう 夫が 「ママ」と呼ぶのに
いらっと しませんでした>
111<「外で 恋をしたら
夫に 優しくできる」>
112<利佳子さんが 言ったことは
本当でした>
113(陽菜)大丈夫? お母さん。
ありがとう。
114(真菜)寝てなよ。
ごめんね。
115ただの風邪だと思う。
大丈夫よ。
116≪(滝川)おはよう。
うん? どうした?➡
117具合でも 悪いのか? 珍しいな。
コーヒーだけで いいよ。
118(陽菜)「コーヒーだけで
いいよ」じゃないでしょう。
119(真菜)お母さんは
召し使いじゃないんだよ。
120(滝川)えっ?
(真菜)前から 思ってたけど➡
121お父さん
お母さんに 横暴過ぎるよ。
122(滝川)そっかな? お父さん
これでも ちゃんと 働いて…。
123(真菜)働いてれば 偉いんだ?➡
124私 結婚するなら
お父さんと 正反対の人にする。
125(陽菜)ねっ?
126(滝川)ちょっと 何か 今日
旗色 悪いな。
127ああ。 もう 寝てなよ。➡
128コーヒーくらい 自分で 入れます。
ハハッ。 えー。
129ありがとう。
130(加藤)《ああ。 抱いたよ》➡
131《薄っぺらな情事をした。
あんたの 望むとおりに》
132(滝川)今日くらい 今日くらい。
ああー。
133[TEL](シャッター音)
134(乃里子)主婦も 侮れないわよね。
(北野)でも 珍しいね。
135ノリが 知り合ったばっかの人の
家に 行くなんて。
136(乃里子)言ったでしょ? そろそろ
主婦デビューしなきゃって。➡
137准教授には なれたけど
ふとね➡
138私の人生 何か 足りないなって
思ったの。➡
139「何なんだろう?」って
突き詰めて 考えてみたら➡
140子供なんだよね。
141(乃里子)来年 35だし
お父さんたちも 期待してるし➡
142そろそろ 真面目に
計画すべきでしょ?
143(乃里子)子供 産むんだったら
近所の奥さんたちと➡
144ネットワークを
持っといた方が いいもんね。
145(北野)よく 考えてんだな。
146(乃里子)人生設計は
しっかりしなきゃね。 んっ。
147(乃里子)やだ。 喉 渇いたの。
148(乃里子)うん。
149(乃里子)裕一郎。 遅れちゃうよ。
150やらしい。
こんなの やってんの?
151(智也)ちょっと 見てよ。
この書き込み。
152(智也)たぶん 利佳子だよ。
えっ?
153「慰めてくれる人 募集中。
振られたばかりなので➡
154何もかも 忘れさせてくれる人が
いいな」 「昼顔」って。
155何で 利佳子さんって 分かるの?
156(智也)俺ら
ここで 知り合ったから。➡
157昼顔って ハンドルネーム
よく あるんだけど➡
158これ 利佳子だよ。
159(智也)何か やけっぱちで
男 探してる感じしない?➡
160ヤバそうなやつも
レス つけてるんだよな。
161この誘いに 乗るとは
限らないでしょう。
162(智也)自分が やっといて
言うのも 何だけど➡
163ネットって 何があっても
おかしくないから。
164そんなことで 来てくれたの?
智也君 すごく 心配してましたよ。
165放っておいてほしいわね。
もう 別れたんだから。
166どうぞ。 今日は
あんまり お構いできないけど。
167本当なんですか?
昼顔が 利佳子さんって。
168だったら?
169やめた方が いいです。
出会い系なんて 危ないですよ。
170変な事件に 巻き込まれたら
どうするんですか?
171紗和ちゃんには
迷惑 掛けないわ。
172利佳子さん。
好きな人 いるんですよね?
173読まなかった?
振られたの 私。
174やり逃げされました。
「やり逃げ」って。
175どうしたんですか?
利佳子さんらしくないです。
176ハァ…。 ホントね。
私らしくない。
177どうして こんなに
落ちちゃってんのかしら?
178相手 誰か 聞いても いいですか?
くだらない男よ。
179貧乏で へそ曲がりで
ケチで うさんくさい。
180何で そんな人?
何で?
181正直だからかしら。
正直?
182男って 嘘ばっかりでしょう?
183思ってもないのに カワイイだの
奇麗だの 言ったり➡
184離婚する気もないのに
別れるって 言ったり。
185あした 別の女と
約束してるくせに➡
186「君だけだ」って 言ったり。
全てが その場しのぎ。
187でも そいつは
はっきり言ったのよ。
188私に向かって
薄っぺらな女だって。
189あんなやつは 初めて。
だからって➡
190ネットで 次の人 探すなんて
やけくそじゃないですか。
191また 誰かと 出会うことも
ありますよ。
192紗和ちゃんが
北野先生に 出会ったみたいに?
193えっ。
194うまくいってるんだ?
195奇麗になったわね。
196別に そういうんじゃ。
どういうのなの?
197あのう。 私たち あのう…。
198深い関係になる気は
ありませんから。
199「私たち」?
純愛でも してるもり?
0:19:37,733 -->で。
201ネットで 出会おうと
普通に 出会おうと➡
202不倫は 不倫よ。
203どっちが
偉いってもんじゃないわ。
204偉いなんて 言ってないけど。
205誰でもいい みたいに
出会うのと➡
206自然に 好きな人が できるのは
違うと思います。
207自然に 好きになったと
思ってるの?
208あなたは 誰でも よかったのよ。
無意識かもしれないけど。
209誰でもいいから
相手が 欲しかった。
210そういうタイミングだったの。
211そこへ たまたま
北野先生が 現れただけ。
212人が人を 好きになるのは➡
213どんなに 奇麗事 言っても
同じ からくりよ。
214同じじゃありません。
もっと 言うなら➡
215男の恋は 全て 肉欲よ。
216それこそ やり逃げした男と
思われたくないから➡
217維持するだけ。
218あの真面目そうな
北野先生だって おんなじよ。
219そして 女の恋は 全てが 執着。
220他の女に 渡したくないから
すがりつくだけ。
221純愛に酔ってる あなたも
おんなじよ。
222やめてください。
30 過ぎた 大人の女なら➡
223男と女が 何を求めて会うか
分かるでしょう?
224幼稚なこと言って
ごまかしてないで➡
225覚悟をしてから
会った方がいいって➡
226言ってあげてるんじゃない。
227利佳子さんが そう思うのは
勝手だけど➡
228人のことまで
決め付けないでください。
229私は➡
230心で 誰かを 好きになることって
あると思います。
231肉体関係に ならなくたって➡
232一緒にいたいって 思うこと
あると思います。
233笑うなら 笑ってください。
笑わないわ。
234私だって 体だけが目的なら
出会いなんて 求めない。
235紗和ちゃん。
強くなったわね。
236恋って 女を奇麗にするけど
不倫は 女を強くする。
237何だか 私も
元気 出てきちゃった。
238とにかく 私は 言いましたから。
239危ないことは
やめた方が いいです。
240こんにちは。
(女性)こんにちは。
241<確かに 私は
幼稚なのかも しれません>
242<いいえ。
幼稚で いたいだけ>
243<覚悟をして あの人に
会わなきゃいけないのは➡
244本当は よく分かっているのです>
245≪(慶子)遅かったじゃない。
246(慶子)友達の お宅って
例の 滝川さん?
247はい。
(慶子)ふーん。➡
248あの人 何だか 気取ってない?
まあ。 だいぶ 偉そうですよね。
249(慶子)あら?
あなたも そう思ってたの?
250(慶子)紗和さん。 あなたの方が
よっぽど カワイイわ。
251どうしたんですか?
突然。
252突然じゃないわよ。
253これでも 私 いつでも
あなたの味方のつもりよ。
254だからね 紗和さん
何でも 相談してね。
255ありがとうございます。
256あっ。 でも 特に 今は
何もないので。
257んなこと ないでしょう。
悩みが あるでしょう?
258悩み?
いや。 特には。
259無理しないで。
聞いたわよ。
260あなたたち
セックスレスなんですってね。
261気にすること ないわよ。
調べてみたんだけど➡
262別に 妻に 魅力がないわけじゃ
ないらしいわ。
263マンネリってやつよ。
どこの夫婦も あること。
264だからね 上手に
刺激を与えなさい。
265ここにね
「ホテルなんかも 非日常に…」
266ああ。 もう いいです。
267恥ずかしいのは 分かるけど
大事なことだから。 ねえ。
268子供を もうけて
幸せな家庭を 築くためだから。
269ねえ。
270刺激って 分かる?
271分かりませんよ そんなこと。
272普段と 違うことをすれば
いいのよ。
273例えば 違う寝間着 着るとか。
一緒に お風呂に入るとか。
274えっ?
275お母さん お父さんと一緒に
お風呂 入ってたんですか?
276私は…。
277えっ。 何 聞くの?
278お母さん。 お父さんと
死ぬまで 愛し合ってました?
279ちょっと。 ああ。 夫婦は
愛し合うとか 何とかじゃなく。
280じゃあ 何なんですか?
夫婦って。
281どうして あなた…。
嫌ね もう。
282もう。 いや。 もう。
汗が出るわ もう。
283そんなこと 急に。
うん。 えっ?
284うん…。 ああ。
暑い。 今日は もう 暑いわね。
285だいたい この 本の名前が
『ずっと…』
286(美鈴)食べなかったんですか?
愛妻弁当。
287(俊介)妙に ごちそう過ぎてさ。
288(美鈴)愛されてるんですね。
やいちゃうなぁ。
289まあね。
290だから こないだのことは。
291これ以上は ないっていうか。
(美鈴)えっ!?
292「えっ!?」って。
(美鈴)私➡
293課長は 気持ちに応えてくれるって
思ってたのに。
294(俊介)あっ。 あっ。
(男性)お疲れさまです。
295(俊介)あっ。 お疲れさまです。
296マジ?
297あっ。
298やめなさい。
299(美鈴)お酒
付き合ってくれまか?
0:26:13,729 -->から。
君は 部下だから。
301お酒 飲むだけです。
絶対 何もしません。
302いただきます。
303<夫が 帰ってこなくて
ほっとしました>
304<私は 罪滅ぼしの ごちそうを
一人で 食べました>
305(美鈴)すごい。
(俊介)いい店だろ?➡
306雑誌で 取り上げられてたんだ。
この マイタイバー。
307(美鈴)さすが 課長。
すてきな お店 知ってますね。
308(俊介)ハハハ。 コップンカップ。
(美鈴)ハハッ。
309VIP席 空いてたから。
(美鈴)うわぁ。
310えーっ。
311(滝川)あっ。
(俊介)あっ。 どうも。➡
312偶然ですね。
では。
313(美鈴)こんばんは。 いつも 課長が
お世話になってます。
314(滝川)へえー。
笹本さんも 隅に置けないな。
315(俊介)ああー。 いや あのう。
いやいや。 私は そんな あのう。➡
316あっ。 お仕事ですか?
(滝川)ちょうどいいや。➡
317ちょっと 取材に
協力してもらえませんかね?
318(美鈴)はい?
(俊介)ああ。 あのう。 ああ。➡
319ご近所の 滝川さん。
『BONITO』の 編集長さんなんだ。
320(美鈴)えーっ!
何でも 聞いてください。
321(滝川)ああ。 そう。
ありがとう。 あのね。 これ。➡
322この写真。
(美鈴)ああ。 LA PERLAですね。➡
323これ めっちゃ 高いんですよ。
人気の勝負下着です。
324だよね?
325いやぁ。 昼顔妻って
どうしようもないよね。➡
326だってさ 夫の稼ぎで➡
327こんな高価な下着
買ってるわけでしょ?➡
328フフフ。 処刑だな。
(俊介)えっ?
329<あの日の 口紅を
思い出しました>
330<この口紅を つければ
覚悟が つくのかもしれません>
331<あの人は どうやって
覚悟を するのでしょうか?>
332(乃里子)裕一郎。
(北野)うん?
333(乃里子)フッ。
お風呂 入ったら?
334おかえり。
(乃里子)ただいま。
335(北野)寝ちゃおうかな。
(乃里子)うん。
336(乃里子)あっ。 大丈夫?
(北野)大丈夫。
337(北野)いいよ。
(乃里子)うん。
338(北野)ありがとう。
(乃里子)うん。
339(乃里子)ねえねえ ねえねえねえ。
寝ちゃうの? 寝ちゃうの?➡
340ねえ。 起きてよ。 起きてよ。
ねえ。 起きて 起きて。
341(北野)やっぱ
学級通信 付けようかな。
342(乃里子)フッ。 いつまでたっても
シャイなんだから。
343♬~
344<約束の日の 朝が来ました>
345<私は 眠れませんでした>
346<結局 覚悟なんて
できなかったけど➡
347ただ あの人に
会いたいと 思いました>
348♬~
349(乃里子)ああ。
私 今日 午後から 授業だから➡
350もう少し 寝てていい?
(北野)いつも 寝てんじゃん。
351(乃里子)フフッ。➡
352赤ちゃん できたかな?
353今日 終業式だから
早く行くわ。
354♬~
355♬~
356げっ。 来た。
(智也)何だよ?
357利佳子さんなら
元気だったよ。
358(智也)でも ますます
投げやり感 満載なんだよ。
359別れたんでしょう?
引きずらないの。
360さあ 働くぞ。
361(智也)えっ?
何かあんの 今日?
362別に。
363[マイク](校長)夏は 何かと
気が緩みがちになる。➡
364風紀を 乱すようなことに
巻き込まれないように。
365[TEL](着信音)
366♬~
367[マイク](校長)SNSや
出会い系サイトなどで➡
368思わぬ悲劇を招く 事態も
増えている。
369[TEL](バイブレーターの音)
370こんにちは。
安っぽい情事の相手です。
371[TEL]こないだ ピアスを
忘れたんだけど 気が付いた?
372男と つながるために➡
373わざと 男の部屋に
忘れ物をする 女がいるけど➡
374私は そんなことしないから。
捨てといて。
375[TEL]それだけ。 さよなら。
[TEL](通話の切れる音)
376(歓声)
377(校長)木下ら 問題のある
生徒についての 対処は?
378(北野)定期的に 補習に呼び出して
指導します。
379♬~
380(運転手)何か 事件なんですか?
381(滝川)うん。
とんでもない 大事件だよ。
382(校長)油断するな。
一度でも 不祥事を 起こしたら➡
383学校の名前に 傷が付く。
384(校長)それは
教師自身も 同じだ。
385はい。
386ありがとうございました。
387≪(乃里子)こんにちは。
いらっしゃいませ。 あっ。
388今日 早いんですね。
(乃里子)今日はね 午後からなの。
389へえー。 この間は
楽しかったですね。
390(乃里子)ねっ。
391あっ。
392(乃里子)そろそろ 子供
つくろうかなって 思って。➡
393紗和ちゃんちも
まだなんだよね?
394はい。
2,010円になります。
395利佳子さんに
色々 教えてもらいたいな。 あっ。
396私 今日 夕方までなんだけど
遊びに行かない?
397今日は ちょっと。
(乃里子)あっ。 そうなんだ。
398(乃里子)ありがとう。
ありがとうございました。
399[TEL](バイブーターの音)
0:36:22,871 -->。
すいません。
401<ただ
会えなくなっただけなのに➡
402身動き できないほどの
ショックを受けました>
403<素っ気ない
メールの文面に➡
404理由を聞く 勇気すら
奪われました>
405[TEL](バイブレーターの音)
406もしもし。
407[TEL]どうしたの?
元気ないじゃない。
408今 パートの休憩中なんで。
何でしょう?
409昨日は せっかく 来てくれたのに
嫌なこと言って ごめんなさい。
410[TEL]謝るくらいなら
言わなきゃいいのに。
411あなたには 好き勝手
言っちゃうの。 友達だから。
412あなたに会って
友達っていう言葉は➡
413すごく 意味が広いんだなって
思いました。
414私 これから 男に会うの。
415[TEL]まさか 例のサイト?
知りませんよ。 何かあっても。
416メルキュールホテルだから。 万が一 私が
行方不明にでも なったとしたら➡
417助けに来てちょうだい。
418私は 助けません。
自分で 行ったんだから➡
419何があっても
自分で 脱出してください。
420こんなときに
電話してこないでよ。
421♬~
422♬~
423駄目か。 くそ。
駄目か。 くそ。
424♬~
425♬~
426♬~
427≪(加藤)どうしたんです?
編集長 直々に。
428(滝川)あっ。 ごめんなさい。
いらしたんですか?
429(加藤)そりゃ いますよ。
私のアトリエです。
430(滝川)お邪魔します。➡
431あんまり いい別れ方
しなかったじゃないですか。➡
432後味も悪かったし➡
433あの後 どうされてるのかと
思いましてね。
434(加藤)絵を描いてました。 たとえ
クライアントが いなくても➡
435それ以外に
やることは ありませんから。
436(滝川)そうでしたか。
437(滝川)では 新しいクライアントに
させてください。
438(加藤)フッ。 首にしたのは
あなたでしょ?
439(滝川)近々 『BONITO』の
海外ウェブ版を➡
440立ち上げる予定なんです。➡
441その表紙のイメージに 加藤さんの
絵が ぴったりなんですよ。➡
442品格ある エロチシズム。➡
443見る者の心を 躍らせる
エッジの効いた 構図。➡
444僕が 加藤さんの絵の ファンで
あることに 変わりはありません。
445お受けします。
446食うためですから。
447(滝川)よかった。
448(滝川)うれしいな。 また一緒に
やりましょうよ。 ねっ。➡
449握手。 やりましょう。
ハハハ。 ねえ 加藤さん。
450≪(チャイム)
451≪昼顔さんですか?
452♬~
453♬~
454≪(子供)当たり!
455≪(子供)ああー。
≪(子供)ドンマイ。
456≪(子供)あっ。 ここにもいる。
≪(子供)どこ?
457♬~
458♬~
459<未練がましいのは
分かっています>
460<でも 一人で ここを歩いて➡
461いい気になった バカな私を
笑わなきゃ➡
462さよなら できそうに
ありません>
463<あまりにも 短い恋に。
幻のように優しかった あの人に>
464♬~
465どうして?
466来られなくなったんじゃ
ないんですか?
467はい。 あなたも どうして?
468来ないで。
469来たら 私…。
470♬~
471(校長)これだけでは
問題に できない。➡
472しかし このことは
黙ってるように。
473(啓太)分かってます。
474(校長)君の要求は?
475放して。
476信じられない。
嘘ついて 会おうとするなんて。
477利佳子だって
引っ掛かっただろ?
478どんだけ 危ないことしようと
してるのか 教えたんだよ。
479帰る。
何でだよ!
480他の男 探すなら
俺と 付き合えよ!
481私 乱れてるように
見えるかもしれないけど➡
482終わった人と だらだら
付き合うようなことは しないの。
483[TEL]
484黙っててね。
誰?
485しっ。
はい。
486(加藤)編集長が うちに来たよ。
えっ?
487[TEL](加藤)仕事の依頼を 受けた。
488たぶん あんたと 俺のことを
疑ってんだろ。
489旦那は つまらない男だが
バカじゃない。
490バレて 何もかも 失うぞ。
491ありがと。 尻尾を
つかまれるようなことは➡
492してないわ。
なら 結構。
493一度 寝たよしみで
一応 知らせた。
494(智也)誰だよ? お前。
495[TEL](智也)利佳子は 俺の女だぞ!
[TEL]何してんの?
496殺すぞ! おら!
返してよ!
497男 バカにするのも
いいかげんにしろよ。
498<どうして 人は いけない恋に
夢中になるのでしょう?>
499♬~0:49:07,835 -->
501<静かに 心穏やかに➡
502人から 後ろ指 指されないように
暮らした方が➡
503絶対に 幸せでいられるのに>
504誰か 来るよ。
うん。
505絶対に いないって
分かってたから 来たのに。
506僕も 来てるわけないって
思ったから 来た。
507♬~
508♬~
509<男の人と キスをしながら
目を開けたのは 初めてでした>
510<もう この青い空を
何の曇りもない気持ちで➡
511見上げることは
ないのだと思うと➡
512うずくような 悲しみが
込み上げました>
513<でも それでも 私は…>
514♬~
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